内容説明
第二次世界大戦中、両親をムッソリーニに殺されたイタリア貴族の娘セレーナは、悪夢から逃れるように、ニューヨークの修道院にあずけられる。祖母との手紙の往復だけが、まだ16歳のセレーナの生きる望みをつないでいた。その祖母からの手紙が途絶え、終戦をむかえた。セレーナは、ひとり故郷のベニスへ向かい、祖母の死を知る。行くあてもなく、ローマ行きの列車に乗り、気がつくと、かつてのわが家の前にきていた。思いがけず召使いのマルチェラと再会し、セレーナは、公爵の娘の誇りを捨て、自らその邸のメイドになる決心をする―。