都市のジャーナリズム<br> ドストエフスキーのペテルブルグ

都市のジャーナリズム
ドストエフスキーのペテルブルグ

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  • サイズ B6判/ページ数 215p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784385412139
  • NDC分類 980.28

内容説明

「ヨーロッパよりもヨーロッパ的」というイデオロギーによって、とつぜん、蜃気楼のように出現したペテルブルグ。『貧しき人々』から『罪と罰』まで、ドストエフスキー作品を都市小説=フィクションのフィクションとして読み直す。

目次

フィクションとしての都市
夢想家の目
噂の構造
「ネヴァ河の幻」まで
「ネヴァ河の幻」から
〈伝説〉というフィクション
「九等官」をいかに書くか
アパートの中の往復書簡
「ノアの方舟」のみなし児たち
〈三角関係〉のテーマ
『白夜』の歩行者
〈模倣〉という〈道化〉
街路か室内か
〈大洪水伝説〉のテーマ
分身のテーマ
〈語り手〉との関係
「産業の世紀」の予感と儀式
「地下室」の鍵―水晶宮
「トランプ絵札」の二重世界
『罪と罰』―「偶然」「突然」のフィクション
ペテルブルグという「テキスト」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

フリウリ

3
ドストエフスキー小説をペテルブルグという人工都市の視点から読む。ペテルブルグはロシアが作ったヨーロッパとの接点。ペテルブルグを描くことは、ロシアとヨーロッパの関係を、そしてそれを通じてロシアそのものを描くことである。その仕事をプーシキン(ペテルブルグ出身)、ゴーゴリ(ウクライナ出身)、ドストエフスキー(モスクワ出身)は行った。後藤明生は、ペテルブルグで「笑うドストエフスキー」を描きたい。笑いを可能にする諸要素は、「偶然」「突然」が本来的な都市性に内在している。国会図書館デジタルにて読みました。92024/09/16

犬猫うさぎ

1
さっきの意識の構造なんですが、それは同時に「噂」の構造にもなるんだけど、これはドストエフスキーの表現の一つの基本的な特徴で、又聞きの又聞き式なんですよ。(…)だから『分身』なんかで面白いのは、あるスキャンダルが出た場合に、それをどうもみ消すかというふうに意識が向いていくわけね。そのスキャンダルはほんとうか、うそかと追求する方向、つまり実体は何かという方向へ向かわないで、だれが言っているのかとか、どうやったら変えられるかというふうに向かう。(203頁)2024/11/26

kazuho

0
素晴らしい著作。『貧しき人々』から『罪と罰』までを都市論的に解説してくれる。この夏にペテルブルグを2週間ほど周遊しようと思っているのでその一助になる。 2018/05/06

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