内容説明
「見えない文字(字体)」をあぶり出すユニークな発想!文字のかたちを楽しむ待望の一冊。
目次
はじめに 実現したことばだけがことばではない
現代の仮名のかたち(「ツ」のような「シ」の正体;引き締まったカタカナ ほか)
仮名のかたちの変化(ぜい肉落として丸くなる―ひらがなの字体と丸文字;ギャル文字が教えてくれること ほか)
漢字のかたち(漢字はなぜこんなに複雑なかたちなのか;人と人ベン―偏旁冠脚のかたち ほか)
まとめにかえて(「子ブタの貯金箱」の説明書を書いたのは誰だ;「打ち言葉」時代の字体―動的な文字から静的な文字へ)
著者等紹介
佐藤栄作[サトウエイサク]
1957年、香川県三豊郡(現三豊市)生まれ。1985年、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程中退。神戸山手女子短期大学講師、助教授を経て、1996年、愛媛大学教育学部助教授。2001年より同教授。2008年から4年間、附属中学校長を兼任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
11
言語学の中でも実は文字学はマイナー。そしてこの本のように字の形態そのものに焦点を当てた本は珍しい。レタリングの本なら例はあるだろうが。文字の形が歴史的存在であり、あの「ギャル文字」ですら、歴史の過程にしっかりと乗っていることがわかると感心してしまう。規範に大らかさのあった過去を捨てて、ほとんど一対一のように正しい字を求める現代には、ちょっと息苦しさも感じる。これからの異体字研究の発展を願うばかりです。2014/01/23
かなで
2
日本語学のレポートの参考用にさらっと読んだ /21冊目2020/08/03
タイコウチ
2
最近の文字論研究からの一般向けの知見の紹介。最近の字に多く見られる「シ」と「ツ」の混交的誤記や、夏目漱石の直筆原稿に漢字の誤字が散見されるというような「事実」を、文字論の観点から深く考えてみると、意外な結論に至るというなかなかに新鮮な内容。一時期流行った丸文字についても独自の興味深い視点がある。それにしてもこの100年で文字文化の融通性が失われてきているのはたしか。厳密な正解を追求する日本の学校教育の弊害は、まさに鶴見俊輔も指摘するところ。手書き文化の喪失を危惧する著者の見解にも改めて納得がいく。好著。2013/09/19
しょ
1
言葉を再現するときに、声なら高さを変えても同じ言葉と認識する、認識しづらいときもある。それが手書きなら明朝とゴシック程度の違いか、「リリン」が「ソソソ」に近くなる人もいるんだよと。手書きは字の成立から線の構成に書き順という動きを出して書き分け、また字の一本ずつの線でなく部首やあり得る組み合わせパーツ群の知識をもって読み取るけど、活字を選ぶ作業だとぱっと見での区別になっていくよ、例えばすでに、漢字を知らない人作った日本語看板で手書き原稿「に」が活字「ロ」と誤読されているよ。これを能動的に行っていたのがギャル2013/12/12
じめる
0
現実逃避に……。しかしギャル文字考、誤植から分かる日本語の形についてなど、図形としての文字の成り立ちと我々の認識、とても興味深い本だった。ようするにマソソソマソソソってことだ。がんばればもう少し霊的な方までここから飛べそう。2015/01/21