内容説明
「春はあけぼの」の背後にひそむ、時代に挑戦する清少納言の姿が見えてくる。『枕草子』の新たな魅力をわかりやすく紹介する古典入門書。
目次
はじめに―紫式部と清少納言
第1部 歴史に沿って読んでみよう(栄華期;政変期;不穏期;終焉期;『枕草子』の読み方)
第2部 時代背景を見てみよう(『枕草子』を読むための年表;『枕草子』主要登場人物解説;その他の参考資料)
著者等紹介
赤間恵都子[アカマエツコ]
1957年石川県金沢市生まれ。日本女子大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。現在、十文字学園女子大学短期大学部表現文化学科教授。博士(文学)。専攻は、『枕草子』『蜻蛉日記』などの平安女流文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ダリア
3
枕草子を時系列に並べるという試みがまず斬新だ。そして、この本から登場人物の印象がかなり変わった。伊周が大分情けない感じだし、斉信はすっかり嫌いになってしまった。斉信については別の本からもやっとしてはいたが、この本で決定的に。なお、行成の好感度はますます高くなった。大鏡では定子は悲劇のヒロインでしかないようだが、枕草子では魅力あふれる妃と分かる。清少納言のやりたかったことはそれではないかしら。そしてそれは成功している。2019/01/21
あに
2
枕草子はじめて読みには、これはいい本。中学で枕草子の一部を聞きかじって、なんかいいかもと思えた人にはジャストミートじゃないかな。私は「うた恋」からきて良かった。はじめて枕草子の全体を見渡せた。書いてあることとあえて書かないことを対比することで当時の出来事や作者の立場や心情をくみ取ろうとする試みは研究論文からおこしたにしては平易で読みやすい。論文から一般向けに改めた本としてめずらしく成功した良作だと思う。一冊所有したいくらい。2016/07/18
ひろゆき
2
冲方丁『はなとゆめ』を読んだので。枕草子を歴史的順序でならべて、潜んでいる物語りを明らかにする。ために当たり前だが『はなとゆめ』と極めて似ていて、『はなとゆめ』が枕草子に忠実に書かれていて、小説の欠点に見えるもの(脇役が消えたり)が、枕草子に書かれていないものを無理して付け加えていないためなのがよくわかる。ならば中宮定子と清少納言とのやりとりなどは、原典から読むのが、より感動的ではないかとも思う。研究者の書いた本だが、わかりやすく、おすすめ。2013/12/22
たむ
2
作者の定子中宮と清少納言への尊敬と深い愛情が伝わり、いつまでも読み終わりたくないと思えた珠玉の一冊です。2013/08/01
Junichi Watanabe
1
#読了 。枕草子の解説本。教科書で習う章段だけではなく大変奥が深い作品だとわかる。そしてとても政治的。中宮定子と清少納言の関係は、他の本でもよく描かれている通りとても良い信頼関係で結ばれていたのだな。2021/09/24