内容説明
草深いいなかのいろりばたで伝承された昔話には、古代の人々の知恵がこめられている。本書は、江戸時代に赤本として広まった五大おとぎ話をはじめ、北は「ユーカラ」を伝えたアイヌの話から、南は鹿児島の海神信仰を織りまぜた龍神の話まで、各地の郷土色豊かな昔話百編を選び、丸木位里・俊画伯の絵をそえた楽しい読み物である。
目次
北国の昔コ(尻尾の釣;うぐいすの里;犬ッコと猫とうろこ玉 ほか)
中の国のむかし(鳥呑爺;天狗と隠れみの;あぶの夢 ほか)
西国の昔話(古屋のむる;猫と南瓜;竹伐り爺 ほか)
著者等紹介
稲田浩二[イナダコウジ]
1925(大正14)年、岡山市に生まれる。広島文理科大学文学部国語学国文学科卒業。京都女子大学名誉教授。アジア民間説話学会会長
稲田和子[イナダカズコ]
1932(昭和7)年、岡山県里庄町に生まれる。岡山大学法文学部文学科卒業。山陽学園短期大学名誉教授。日本児童文学者協会会員
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感想・レビュー
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テツ
23
日本という国の中で長らく語り継がれた昔話。神も仏もあやかしも、しっかりと存在感を持ちながら僕たちの隣で生きていた時代は遥か昔になってしまったけれど、物語に入り込めばすぐに息を吹き返し目の前に現れる。穏やかな啓蒙。日本的な倫理観や道徳観のベースの一部になっていただろう物語の数々。語り口調で書かれているのでつい朗読したくなる。時代が移り変わってもこうして物語として語り継がれている限り、古の時代に生きていた尊きものもあやしきものも死に絶えることなくひっそりと存在していてくれる気がする。2019/02/19
おはなし会 芽ぶっく
13
令和2年シルバーウィークおはなし会(素話)『さるとひきがえるのもちあらそい』 『 尻尾の釣 / うぐいすの里 / 犬ッコと猫とうろこ玉 / うば百合のたたり / 猿神退治 / 尻鳴りべら / 三人兄弟 / さとりの化け物 / 猿地蔵 / 瓜姫コ / なら梨とり / 鶴女房 / かちかち山 / たにし長者 / 猿聟入り / 地蔵浄土 / 力太郎 / 魚女房 / てんぽ競べ / 塩吹き臼 / 三枚の札コ / ねずみ浄土 / 狐と狼 / 江戸の蛙と京の蛙 / 大工と鬼六 / こぶとり爺 / おどる骸骨 →2020/09/28
円舞曲
12
素話「鶴女房」を聞きました。美しく切ないお話でした。2017/01/13
まあやん
10
買っただけで、ところどころしか読んでいなかった本。今回やっと最初から読みました。おもしろかったです。どこかで知っている話がほとんどでしたが、語り手が語った話なので、耳で聞ける形になっていて、いい本だと思いました。解説もあって大人でも面白く読めました。2015/12/15
cozy
8
「読み終わった」と言い切れない本。何度も拾い読みして、黙読→音読してみたり・・・手元に置いてじっくり読み込んでいきたい。子供に媚びた昔話になっていないところも面白い。民間伝承についての一言メモのような記述に興味津々。2014/10/18