出版社内容情報
日本語で考えるとは、日本語の文法とどういうふうにかかわりあうことなのか。思考という観点から日本語の文法構造を探究する試み。日本語で考えるとは、具体的に日本語の文法とどういうふうにかかわりあうことなのだろうか。「そこ」と「それ」、助詞の「は」や「が」などをキーワードに、思考という観点から日本語の文法構造を探究する試み。
井崎 正敏[イザキマサトシ]
著・文・その他
内容説明
日本語文法という条件と可能性を探究する。「日本語で考える」とはどういうことなのか。
目次
序章 日本語で考えるとはどういうことか?
第1章 「そこ」が対話のポイント―聞き手の場所へ
第2章 「は」は語りかけのサイン―対話をつくる構文
第3章 「が」は組み立てのツール―世界を構成する構文
第4章 「私」は言葉のどこにいるのか?―日本語のなかの主観と客観
第5章 「ある」は語りの出発点である―構文を発掘する
終章 日本語とともに考える
著者等紹介
井崎正敏[イザキマサトシ]
1947年、東京生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業後、筑摩書房に入社。「ちくま学芸文庫」編集長、「ちくま新書」編集長、専務取締役編集部長などを経て、2001年に退社、評論活動に入る。この間に、武蔵大学客員教授、東京大学・明星大学非常勤講師なども務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katsubek
19
知的に刺激を受けた。いやいや、面白かった。難しい内容ではあるが、まことに興味深かった。でも、お腹いっぱいになる。国語学のちょっと難しめの入門書というところか。しんどいところを読み流しながら読むのもよいかも知れない。2020/01/17
ルル
15
日本語を使って考える、とは? 思考言語≠伝達言語2019/06/08
Mc6ρ助
11
「お姉さんのところは?」というような問いに対する『「姉さんは男の子です」・・「姉さん」が・・西欧語の「主語」であれば、きまりとして「述語動詞」が出現・・SV構造型の言語であった。しかし日本語では、最初に「は」で提示された言葉に対して、それを説明するものであれば、・・文法的にはおおむね許容される。(p57)』学校日本語文法の域を軽く超え、読書子の理解力も超えて日本語文法の入門解説は続く。人の考えをすべては言葉にできず、言葉だけでは考えていない、言葉だけでは世界を記述できない、当たり前だけど目から鱗。2019/04/12
良さん
4
小浜逸郎『日本語は哲学する言語である』(徳間書店)よりは、やや言語学的な分野からのアプローチになるが、諸説集成してあるところがよい。これから日本語「を」日本語「で」どう考えていくかの示唆に富む。 【心に残った言葉】日本語の構文は、基本的に、実体を指し示す言葉と、それらを関係づけ、話し手の心持ちを示す言葉との組みあわせによって成立した。時枝誠記は、この概念過程を経た「詞」が、言語主体の直接的な表現である「辞」に包まれることで、文という言語主体による表現が完成すると考えた。(161頁)2019/03/24
がんちゃん
3
思考するための方法論としての日本語の使い方が書いてあるのかと思ったけど、日本語の文法のことが述べられていた(そうとしか私には取れなかった)。とはいえ、普段何気なく使っている日本語だけど、いわれてみれば、てにをはを含めて、そこにはちゃんとした使いわけがしてあるんですね。たとえば英語の文法と比べるとよく分かるんだけど、英語と日本語の言葉に対する(あ、そうか、それは思考ということにつながるのか)アプローチの仕方がまったく違う。そう思うと日本語を使うことがなんか楽しくなってきましたよ。2019/02/27