内容説明
1887年、帝政ロシアの支配下にあったポーランドで医師ザメンホフはエスペラントを発表した。苛酷なロシアの迫害の中に生きたユダヤ人ザメンホフの心は、彼自身のことば「エスペラントは、われわれが必要によって使うやさしい言葉であるというだけでなく、重大な社会問題である、ということを忘れてはいけない」に端的に表れている。本書はその精神の連なりの中で、反体制的な日本のエスペランチストの一群が試みた運動の記録である。
目次
1 世界を結ぶ一つの言葉
2 大杉栄をめぐる人びと
3 北一輝と出口王仁三郎
4 緑化か赤化か
5 神を殺す人びと
6 希望と嵐の時代
7 トゥルマギのエスペランチストたち
8 人民戦線を指向して
9 自由主義者も相ついで
10 戦う中国で―長谷川テルの生涯
11 雲と火の柱―戦後の運動