内容説明
新聞という産業は今、様々な危機に直面している。止まらない読者の減少、低下し続ける広告収入、ITの包囲網、消費税アップ、特殊指定の見直し―そして何より、金科玉条としてきた「部数至上主義」すなわち泥沼の販売競争は、すでに限界を超えている。いったい新聞は大丈夫なのか。生き残る方策はあるのか。元大手紙幹部が徹底的に解き明かす、新聞が書かない新聞ビジネスの病理と、再生への処方箋。
目次
第1章 新聞の危機、その諸相(朝日と読売の「共闘宣言」;異常な販売コスト ほか)
第2章 部数至上主義の虚妄(新聞は「あちら側」;言論と企業活動のギャップ ほか)
第3章 新聞と放送、メディアの独占(相次いだメディアの「不祥事」;空文化した「放送政策の憲法」 ほか)
第4章 新聞の再生はあるのか(産経新聞の実験―夕刊廃止と低価格;携帯電話と読者の高齢・無職化 ほか)
第5章 IT社会と新聞の未来図(新聞版のロングテール;ポータルサイト争いで完敗 ほか)
著者等紹介
河内孝[カワチタカシ]
1944(昭和19)年東京都生まれ。慶応大学法学部卒業。毎日新聞社会部、政治部、ワシントン支局、外信部長をへて編集局次長。その後、社長室長、東京本社副代表、中部本社代表など経営の要職を歴任し、常務取締役(営業・総合メディア担当)を2006年に退任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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highig
15
( ^ω^)本書が上梓されたのは十年以上も前のことになるが、副題にある『破綻したビジネスモデル』というものの解決、新聞業界を救う画期的なモデルチェンジというものは現在に於いても行われていない。当然の事ではあるが、業界を取り巻く環境は上梓当時よりも格段に厳しくなっている。当然、危機感をもって改善に努めてはきたのだろう。しかし残念かな、それらの取り組みは全て失敗に終わったと断じざるを得ない。過去の成功体験に囚われた、悪く言えば惰性的で権威的なビジネス。斜陽していくメディア復権の鍵は何処にあるのか?2018/04/12
ちくわん
9
2007年3月の本。著者は、毎日新聞元常務、退任の翌年に発刊!強引な拡張、廃棄するのに印刷、部数絶対主義、テレビ局との資本のもたれあい。インターネットの出現により本当に破綻しそうな「ビジネスモデル」ではある。しかし、社会に生きる言論として、左右問わずに、広告で稼ぎつつ、なんとか生き残っていただきたい社会的機能である。2019/05/06
たまきら
7
あ、親父の本が本棚から出てきた…。メディアが変貌を遂げ続けている現在、久々に読んだらちょっと賞味期限が。でも、まったく変わらないことも多い。日本だもの。2015/09/18
Taizo
5
2007年時点の本ですがその時点で既に破綻していたとのことです。もちろん人口減とインターネットという破壊的環境変化が最大の要因ではあるのですが、ではなぜこの10年20年の間に舵を切れなかったのか?その原因が新聞業界最大のタブー「押し紙」とのこと。日本の新聞はその95%が戸別配達という世界でも類を見ない配達網によって支えられており、それを担うのが新聞社から委託され配達する「販売店」です。実はその販売店に卸されている新聞は、実際に配られているものに加えおよそ20%程度多い、そうです。これがいわゆる「押し紙」2021/10/09
アルゴン
4
★★★☆ 本書のあげている理由とは違いましたが、消費税増税対策で家計に真っ先に切られたのが新聞で、顧客獲得に必死なんだと、うちにきた新聞販売員の方はぼやいていました。販売員の方が悲壮感全開で心が痛みましたが、そろそろ新聞も生まれ変わらないと厳しいというのが正直なところ。世の中の真実をあばく新聞社のビジネスモデルが不透明でどうする。2014/05/27