内容説明
著者の主な研究領域は人権規定の法的性格である。立命館大学大学院の特別研究生として著者が研究生活に入ったのは一九五六年であった。朝日訴訟の発端となる保護変更決定が出された年である。当時の憲法学ないし人権論の状況をふりかえれば、第一に、新憲法制定以降の「啓蒙的」人権解説期を脱し、第二に、占領期における「超憲法的」人権制限期を過ぎ、そして第三に、五〇年代前期までを特徴づける右のような状況を克服するために、新憲法によって導入された違憲立法審査制の実質化に向けて違憲審査基準・方法論などがようやく本格的に論じられ始めた時期であった。本書では、そのような時期に研究生活に入った著者が、以後の各時期の各テーマにどのような問題意識で対応しようとしたのか、現時点でそれはどのように軌道修正されるべきかについて簡潔に叙述する。
目次
第1章 基本権規定の法的性格―ワイマール憲法成立過程における展開
第2章 制度的保障論
第3章 社会権の法的性格
第4章 財産権の構造
第5章 地方自治権の性格と内容
著者等紹介
山下健次[ヤマシタケンジ]
1931年和歌山県に生まれる。1955年京都大学卒業。1956年立命館大学大学院特別研究生。1969年立命館大学教授(憲法学専攻)。現在、立命館大学名誉教授
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