内容説明
本書は、シラーの美的教育論において展開された「美的教養」思想がいかなる思考過程を経て形成されていったのであるか、そしてそれは、あらまし、いかなる内容のものであったのかを、発展史的に跡づけ、またそれが彼の創作にとって、いかなる成果をもたらしたものであったのかを、形式的には、知性と感性との活発な「相互作用」を励起して、奥深い詩的表現を目指すと同時に、内容的には、シラー独自の歴史哲学的想念を一つの詩的心象に昇華せしめようとした思想詩『散歩』を例にとって、検証しようとした試みの報告を内容とするものである。
目次
第1章 ギリシア的古典美との出会い
第2章 芸術家の使命
第3章 カント美学との出会い
第4章 優美と尊厳
第5章 美的教養の理想
第6章 思想詩『散歩』