内容説明
本書では、角度を変えたいくつかの観点に立った考察により、シュトゥルム・ウント・ドラング劇の全体の姿を捉え、その実像に迫り、その近代・現代的意義を見出そうとしている。またそれを通じて、シュトゥルム・ウント・ドラング時代の、矛盾、対立、混乱を含む混沌とした精神状況を、その表層を観るだけでなく、その内部にまで視線を届かせようと努めている。
目次
第1章 シュトゥルム・ウント・ドラングとEmpfindsamkeit
第2章 シュトゥルム・ウント・ドラングのシェイクスピア受容
第3章 J・M・R・レンツの演劇観
第4章 「個」の孤立―J・M・R・レンツの劇世界
第5章 J・M・R・レンツとG・ビューヒナー―反理想主義的演劇の一系譜
第6章 F・M・クリンガーの『双子』―不安の心理劇
第7章 H・L・ヴァーグナーの『嬰児殺し』―一八世紀ドイツ市民社会への挑戦
第8章 マーラー・ミュラーの『ファウスト博士』―シュトゥルム・ウント・ドラングと民衆文学のあいだ