内容説明
英国国防省の諜報機関で中東情勢分析を担当するオードリーにある夜、本部から指令が入る。〈終戦直後墜落した英空軍輸送機の残骸が発見さる、至急調査せよ〉その飛行機は以前からソ連が異常な関心を示し続けてきたものだ。博士号を持つオードリーは部屋の中での分析仕事なら得意だが、“フィールド・マン”のタイプではない。彼はなぜ汚れた仕事に選ばれたのか?が、やがて彼は、歴史の虚実が織り成す迷宮の中に迷い込み謎のロシア人と対決することに…。英国スパイ小説の逸品。シルバー・ダガー賞受賞!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
77
東西冷戦下の英国国防省諜報部とソ連の間での大スパイ合戦の話。ケンブリッジ卒の中東専門家オードリーが机上勤務からフィールド勤務に勤務替えさせされ、慣れないスパイ活動を始める。狙いは英軍飛行士ジョーンズが英国に密輸したと思われる東ベルリンから紛失したシュリーマン発掘のトロイの財宝の行方を探ることにある。そのジョーンズの娘フェイスと知り合い、一緒にその行方を探すことになるが…。恋に落ちた中年スパイの「気持の揺れ」もうまく描かれる。上質のよく目配りの効いたストーリー展開と筆致で満足の読後感であった。推理100。2023/01/20
東森久利斗
4
英国推理作家協会選出「史上最高の推理小説100冊T(he Top 100 Crime Novels of All Time)」(1990年)の一冊。歴史の狭間に封印された闇、失われた遺産。明らかになる事実、虚飾、過去。開けてはならないパンドラの箱。暗躍する国家組織。エスピオナージ小説の王道。埋もれた良作。サンケイ文庫も懐かしい。2021/05/31
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