内容説明
本書は論理的思考という大テーマに真正面から取り組み、「思考」の原論、方法論としての「論理」、そして「分析」のテクニックという三部構成によって、体系的構造的でありながらかつ平易で実践的な解説を行っている。
目次
第1章 思考(思考とは;「分ける」ための三要件;思考成果 ほか)
第2章 論理(論理とは;論理展開;論理展開の方法論 ほか)
第3章 分析(分析とは;分析作業;合理的分析の手法 ほか)
著者等紹介
波頭亮[ハトウリョウ]
1957年生まれ。東京大学経済学部(マクロ経済理論および経営戦略論専攻)を卒業後、マッキンゼー&カンパニー入社。1988年に独立、戦略系コンサルティング会社(株)XEEDを設立。幅広い分野の第一線で経営コンサルタントとして活躍し続ける一方、斬新で明快なビジョンを提起するソシオエコノミストとしても注目されている。社会資本整備審議会委員、政策科学研究所委員、ぴあ総合研究所所長も務める
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感想・レビュー
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Don2
12
マッキンゼーの古典である。マッキンゼーの本であるからにはMECEの話はせねばならんし、演繹法と帰納法の話はせねばならんだろう、という、いつもの感じ。"思考とは思考対象の情報要素と思考者のもつ知識とを付き合わせて比べ、各要素について同じと違うに分け尽くすことができた状態にたどり着くこと"(=パターン認識と理解した)とし、知識の重要性("地頭"ではなく)を強調している点は珍しいし正しいと思う。ただまあ、他は類書を数冊読んでるならnewは無いかなあ、という、古典あるある。2023/05/14
忘備録
9
美しい。論理展開が綺麗すぎて惚れ惚れする。正しく考え、正しく分かることが出来れば、世界が違って見えるというのは誇張ではないのだろう。具体的な訓練方法は示されていなかったが、「思考」の性質を考えるに、日常の全てが訓練の場となるのだろう。2018/06/12
珈琲好き
9
人間が推論をする際の構造を理解できた。推論は当たり前のようにやっているけど、正確に行うのは難しい。/ソクラテスの議論のような、論理的に正しいのに納得がいかないというのは、論理形式を満たしているだけではやはり意味がない、というのが暫定の結論である。2015/11/27
liverpool0810
8
いい。論理的思考について書かれた本は数多くあるが、本書ほど思考と論理について原理的考察を踏まえて書かれた本はあまりないように思われる。類書の多くはしっかりした定義を下さずに曖昧な表記のまま論を進めるものが目立つが、本書は「思考とは何か」「論理とは何か」等々を明確に定義し本質的なところまで触れられている。論理が明快で(著者の優秀さがよく分かる)体系的に書かれているので非常に頭が整理された。折にふれて読み返したい本だ。2010/08/28
中嶋 太志
7
思考とは、頭の中で情報と知識を加工し、意味合いを得ること。思考時には情報と知識を突き合わせて比べ、共通点と相違点の認識を行っている。正しく分かる=正しく分けるであり、その要件は抽象度の統一・適切な分類基準の設定・MECEの3つ。思考の成果は、事象の識別と、事象間の関係性把握の2つ。因果関係の条件は、相関関係・時間的序列・意味的連動性の3つ。論理とは主張と根拠を繋ぐもの。推論の価値は確からしさと距離で測られる。分析とは、収集した情報を要素に分けて整理し、分析目的に合致した意味合い(規則性/変化)を得ること。2023/04/03