内容説明
九歳で未亡人になったパニヤマの白いサリーでの一世紀にわたる生涯。今につづく、インド幼児婚の悲劇。
感想・レビュー
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やまはるか
17
1800年代のインド、9歳で結婚したパニヤマ、幼い夫が2ケ月後に死亡し、ヒンドゥー教の戒律に従い髪を剃られ未亡人として生きた様を一族の一人である作者が「私」として関わりながら物語る。妻が夫の屍とともに生きたまま焼かれる「サティー」が1815年から11年間ベンガルで7,156件あったと訳者が述べる時代。主人公は夫の記憶もないまま未亡人とされ聖者のように生きる。未亡人の再婚を認める「ヒンドゥー寡婦再婚法」が1856年に、「幼児結婚禁止法」が1929年に制定されるが、「伝統の力は重くまだむつかしい」とある。2024/02/27
うどん
2
現代日本に生きる自分には、ちょっとしたファンタジーにさえ思える環境と生き方。満たされていたのかどうかは彼女にしか分からないけれど(想像も出来ない)、現状に従い生きる心が気高い女性だと感じた。それでも本人が望むなら人生の選択肢は無数にあってしかるべきだし、脈々と受け継がれてきた「文化」だからといって全てこのまま続けていくのは盲目的に過ぎると思う。2016/09/25