内容説明
学校のプールの授業では、みんな水着をきて、男の子も女の子もいっしょにおよぐ。とてもたのしそう。でも、ファドマがスウェーデンに来る前にくらしていた国では、とても信じられないこと。お父さんも、お母さんも、ゆるしてくれっこない。だからファドマは、いつもプールのはしで服をきたまま、みんながおよぐようすをみているだけ。
著者等紹介
ストルク,オーサ[ストルク,オーサ] [Storck,〓sa]
スウェーデン生まれ。作家、図書館司書。現在はイェンシェーピング市立図書館長をつとめながら、児童書を執筆している。移民や難民たちが社会に溶け込もうとする姿を描いた作品を多数発表している
スペー,ヒッテ[スペー,ヒッテ] [Spee,Gitte]
インドネシア生まれ。イラストレーター。11歳のとき、オランダに移住
きただいえりこ[キタダイエリコ]
埼玉県生まれ。翻訳家。スウェーデンの絵本、児童書の紹介にたずさわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆか
44
イスラム教の女性が肌を見せてはいけないという知識はあったが、では、子供達がプールの授業をどうしているのか、考えを思い巡らせようとしなかった自分を反省しています。主人公ファドマは、東アフリカにあるソマリアからスウェーデンに引っ越してきました。が、プールの授業には参加できません。先生達の配慮でファドマは、女性のためだけの水泳教室に参加できるようになります。女性差別を叫ぶのではなく、制約のあるなかで、どうすればよいのかを上手に考えていると思いました。いろいろな子供達のことを考えられるようになりたいです。2017/12/13
chiaki
38
イスラム圏ソマリアからスウェーデンに越してきたファドマたち一家。授業では週に1回のプールがあるが、男女が同じプールで泳ぐのはイスラム教の戒律にそぐわない。水着姿の友人たちが泳ぐのを羨ましく見ながらも、教えとの間で揺れるファドマの心。そんなファドマへの先生の押し付けがましくない手のさしのべ方が素敵。お母さんがためらいながらもファドマに夢を語る場面が印象的でした。文化や慣習、宗教の違いを互いが認め合い、尊重し合うボーダーレスな社会づくりに誰もが歩み寄りの精神を!!2021/03/27
たまきら
22
違う文化の中で生きていく。それにはお互い理解しあうことが大切。歩み寄ることが大切。先生や母娘の姿にじ~んとしたり、とても大切な規律とはいえ、好きなことを制限される女性たちの姿に胸がいたんだり。おタマさんはプールが大好きなので目を丸くしていました。2018/03/12
ごへいもち
20
良かった。少しずつ少しずつ近づいていける。読友さんご紹介本2018/02/22
ケ・セラ・セラ
20
宗派の違い、文化や慣習の違いを理解するのは本当に難しいと思います。訳者のあとがきにあるように、私たちが女性差別ととらえてしまうのは、ある意味自分たちは自由だという勝手な傲慢さからくる考え方なのかもしれません。子どもたちに難しいことはわからなくても、異なる考え方を異端視せず、相手を受け入れようとする姿勢、その点は伝えたいものです。2018/02/21