内容説明
本書は、クマの生態調査・研究を、食物や森などいろいろな角度から、わかりやすく紹介。正しいクマの姿を伝えようとしている。
目次
第1章 クマ研究事始め(きっかけ;わたしとクマの出会い ほか)
第2章 足尾の山でのクマ研究(新たなプロジェクト、新たな調査地、足尾の山;クマにとってのドングリ ほか)
第3章 クマの食べ物の種類(旬の食べ物・葉っぱ;石をひっくり返すクマ ほか)
第4章 クマハギ(クマハギとは?;林業とクマハギ ほか)
第5章 これからのクマ研究(新しい研究アプローチの試み;ロシア沿海州でのクマ調査 ほか)
著者等紹介
小池伸介[コイケシンスケ]
1979年名古屋市生まれ。東京農工大学大学院連合農学研究科修了。博士(農学)。現在、東京農工大学大学院農学研究院准教授。専門は生態学、とくに森林生態学、動物生態学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
70
私は山歩きが好きで、近くの山に出かけては「クマ出没注意」の看板を頻繁に見ます。私は熊鈴をチリンチリンと鳴らしながら歩きますが、実際にクマに遭ったことも見たことも無いし、クマの活動の跡も見たことがありません。でも怖いことには変わりなく、クマの行動を少しでも知っておこうと思って読んでみました。クマの食性を中心にクマの行動を解説されていました。共存共栄、改めて、森を守っていかねばならないことを認識しました。2017/09/24
tomatobook
7
クマ研究の本であるが、学術書でなく一般人向けのクマ啓発本。著者がどのようにクマ研究に携わるようになったか、食肉目のクマがなぜどんぐりを好んで食べるのか、どんぐりが豊作と凶作を繰り返す理由、個体によって食性が異なることの考察、どれも興味深く読んだ。登山口にある“熊出没注意”の看板は怖いけれど、正しく恐れようと思う。2022/05/05
Opus13
0
研究のさまざまな手立てが、工夫を凝らしたオーダーメイドであることに感じ入った。2024/08/01
きつね
0
科学的にクマの生態を解き明かす過程、その結果を述べている本。クマって怖いイメージがあります。三毛別の事件も強く印象に残っているためかと思いますが…。人を襲って食べたり、森の中で出会ったら殺されてしまうんじゃないかとか。でもこれって、あくまでもイメージ。実際のクマはどういう風に生活しているのか、この本を読むと見えてくるかと思います。少なくともわたしは、この本で、「あれ、クマって意外と怖い生き物ではないのではなかろうか」と思えるようになりました。2019/01/29
ビシャカナ
0
クマの食に注目した研究報告。ドングリ不作となれば何十キロもエサを求めて動き、時期によって必要な栄養を合理的に集め、個体ごとに異なる食性など知られざる熊の姿が見えてくるが、それも長年の苦労あってこそ、クマ研究のために山中を歩き回り、糞を集め、木を切り倒す、努力と根性の日々。その一方でハイテク機器を使いこなすなどクマもさることながら研究者の姿も興味深い。熊と自然の合理的なシステムや、生息数すら曖昧な熊と人の関係のあり方など、得るところが多かった。2018/02/03