内容説明
タンポポは、わたしたちだれもが知っている身近な草花だ。そのタンポポに、いま、異変が進行しつつある。雑種タンポポの登場だ。雑種タンポポは、見た目がセイヨウタンポポに似ている。クローンの種子を実らせるのもセイヨウタンポポと同じだ。ところが、都会に生えるタンポポの大部分は雑種タンポポなのだ。どうして雑種タンポポだけが増えるのだろう…?
目次
第1章 日本はタンポポの国(タンポポの生き方を知るために;タンポポの国、日本 ほか)
第2章 タンポポのかたちと生き方(花や種子から生き方をみる;そっくりさん ほか)
第3章 雑種タンポポの研究(都市に広がる雑種タンポポ;種子は情報の宝箱 ほか)
第4章 タンポポをもっと知るために(広がる外来生物;変化をもたらす外来植物 ほか)
著者等紹介
保谷彰彦[ホヤアキヒコ]
1967年生まれ。東京大学で博士号(学術)取得。専門はタンポポの進化や生態。農業環境技術研究所を経て国立科学博物館植物研究部に勤務。企画と執筆の「たんぽぽ工房」設立。現在、文筆業とタンポポ研究の他、大学での授業や講演会、草花散歩会などの活動を展開中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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姉勤
24
研究者でもある著者の、タンポポのやわらかめな学術書。黄色と緑のコントラストの鮮やかさが目を惹く身近な野草の、フィールドとラボで見つけた意外な発見。大別して二ホンタンポポとセイヨウタンポポに分かれ、交配とクローン、それぞれの良さを取り込んだ雑種も多く存在する。見分け方や、各部の解説、生態も詳しく本書を片手に近所を散策に行くのも、乙。2017/04/29
紅花
16
タンポポの品種の説明から、交雑種タンポポの観察と実験へ。完全に子供向けという感じでもなく、文章がとても読みやすく、中身が濃い。日本VS外来種が決して外来種の勝利とは限らない。交雑たんぽぽが85%と言う結果に驚き。そしていいとこ取りの交雑タンポポの賢いところに更に驚き。あんな小さな種の中に、生命の知恵、歴史がぎゅっと詰まっていることを、改めて感じる。2016/03/21
はる
13
図書館本。三月に高知の牧野植物園でタンポポとスミレの企画展示を見た。わたしの良く知るタンポポはやはり白い。関西に長く住んで黄色のタンポポと身近に暮らしていても、シロバナのタンポポに出会うとほっとする。それでもタンポポのことは知らないことばかり。花粉、種子、交雑、昆虫との関わり…。そのままネットでタンポポ調査2015西日本まで飛んでいってしまった。タンポポの見分けができるようになりたいぞ!2016/04/16
プクプク
12
身近なタンポポについて研究され書かれた本。読み仮名も多く、幅広い年齢層に読みやすくなっている。日本タンポポと外来タンポポというのは知っていたが、日本タンポポにも地域ごとにタンポポが違ったり、雑種タンポポというのも初めて知った。なかなか面白い。こんどタンポポが咲き始めたら下を向いて歩いてみよう~と思う。2015/06/20
星辺気楽
3
小学校高学年から中学生ぐらいにでも分かる自由研究のネタ本的な理系書。でもタンポポの種類やその生態って馬鹿にならないもんだということが分かりました。とくに雑種タンポポのことや、セイヨウタンポポはクローンだったなんて驚きです。2015/05/29