内容説明
「ライオンを恐れないで、夢をもちつづけてください」。「目標を定めて努力すれば、どんな困難も乗りこえられる」。マサイ族の少年が、周囲の理解を得て学業をつづけ、アメリカの教壇に立つまで。
目次
第1章 ライオン狩り
第2章 誇り高き者
第3章 牛
第4章 つねり屋
第5章 学校
第6章 牛飼い
第7章 成人になる儀式
第8章 カバラック校
第9章 サッカー
第10章 アメリカ
第11章 二つの世界の戦士
著者等紹介
レクトン,ジョゼフ・レマソライ[レクトン,ジョゼフレマソライ][Lekuton,Joseph Lemasolai]
遊牧民の子どもとしてケニア北部に生まれる。十代の終わり近くになってアメリカに渡り、セント・ローレンス大学で文学士号と修士号を取得し、ハーヴァード大学では国際教育政策の修士号を取得する。現在はヴァージニア州北部にあるラングリー校で歴史を教えるかたわら、一年の半分をケニアで暮らす。ケニアでは、田舎の地域社会発展プロジェクトに積極的にかかわっているほか、いくつかの非営利組織と協力して、百人以上の遊牧民の子どもたちに奨学金を提供している。国への多大な貢献により、ケニアの大統領から「偉大なる戦士勲章」を最年少で授与された
さくまゆみこ[サクマユミコ]
1947年、東京生まれ。出版社勤務を経て、現在はフリーの翻訳者・編集者。玉川大学・大学院非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
20
アフリカ。ケニア。彼の地には一家族から一人は学校にやらなければならないという法律があるそうな。そうした法律の下に末っ子である著者レマソライは学校に通いやがて奨学金を得てアメリカに留学し教員の資格を手にする。しかし今でも故郷であるケニアでマサイ族の一員として一年の半分は過ごす。こうして近代的な知識と祖国の部族のしきたりとを同時に自らの中に受け入れていられるのって驚嘆すべき柔軟さだよな。強く賢い人。ここに現代社会における摩擦から生まれる全ての悲劇を和らげるヒントが隠されている気がする。2017/08/31
まりこ
4
一家族一人ずつ学校に通わせるという法律により、学校へ通うことになった著者ジョセフ。遊牧民としてケニアに生まれた彼は、何度棒でお尻を叩かれてもケンカをやめないばかりか、ズボンを二重に履いたり、厚紙を仕込んだりして尻叩きに備えるいたずら者。一方で、誇り高きマサイの男であり、家族に感謝し懸命に学ぶ成績優秀者だ。奨学金を得て米留学を果たし、高校の教師となるも、年の半分を故郷ケニアで暮らし、遊牧民の教育と生活向上に尽力する。遊牧民の伝統を大切にする著者の明るく誠実な人柄が伝わってくる好著。高学年から。オドロキ満載。2014/10/13
ジュースの素
3
ケニア北部のマサイ族として生まれたレマソライは、誇り高いと言う意味。マサイと牛は家族同然だ。ミルクと牛の血を混ぜて飲むのはやはり本当だった。 家族の一人は学校にやるのが法律で、末っ子の彼が遠い学校に通う。マサイのしきたりや割礼、掟なども本に詳しい。米の大学を出て教員になっても半年はケニアでマサイの暮らしを続ける彼だ。2015/07/12
のん@絵本童話専門
1
遊牧民マサイ族として育った作者。一家に一人学校に通うのに自分が行きたいと手を挙げ、その学校への道のりは遠く壮絶だった。遊牧民故今の位置を探さねばならない苦労もあるが、通いきり、奨学金も得て、アメリカ留学まで果たした異例の経歴。その独自の経歴を活かして、アメリカ人との橋渡しをし、村にも恩返しをしている。牛はライオンが来た時には一斉におしっこをする(ハイエナでもなくライオンで)、持っている牛で発言力や敬意が決まるなど、遊牧民ならではのエピソードも興味深い。2023/11/15
あちこ
1
わたし用に借りた本。これはぜひとも、子どもたちにも読んで欲しい。勇敢であるというのは、こういうことを言うのだなあ。2015/06/06