出版社内容情報
11歳になったその年、戦争が始まった――
美しい時間、美しい言葉、愛する者たちを、
戦争は容赦なく、うばっていく。
それでも彼女は、心の中の「美しいもの」を守りつづけた。
詩に思いをきざみ、未来へつなごうとした。
〈あらすじ〉
物語は、ある女性が日本から届いた段ボール箱をひもとくことから始まる。中に入っていたのは、名もなき女性詩人の青春の思い出の数かずだった――
「誰からも愛されますように」という母親の願いのとおり、立花ミモザはみなに好かれ、自由で、めぐまれた少女時代をすごしていた。しかし、ミモザの日常は、しだいに戦争の影におおわれていく。昼はもんぺ姿で農作業、夜は大好きな読書もままならず、空襲におびえる日々。父親は家族に暴力を振るうようになり、ミモザの「美しいもの」は、次々に汚され、うばわれていく。
詩人になりたい、無念なこの思いのたけを、わたしは詩に書きたい――戦争の時代にあっても、心の中の美しさを守りとおした少女の青春の記憶。
著者が敬愛する詩人・茨木のり子さんへのオマージュを込めて描いた、「詩人」と「戦争」の物語。
【目次】
〈もくじ〉
あなたに贈りたいものは
不思議な力
うつくしい言葉
幼いころの風景画
生きる喜び
遠い昔にしたように
心をこめて、わたしは待つ
覚えておいて、思い出す
それでもそれは恋のうた
あなたに捧げる愛のうた
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