内容説明
ドイツのとある村。キャベツ畑に立てられた、かかしのトーマスは、人や動物のことばがわかり、たくさんのことを体験します。まわりの世界を見つめ、お月さまと語り合うなかで、やがてトーマスは、ひとつの大きな願いをいだくのでした。ドイツのかかし、トーマスの夢。こころを持ったかかしとキャベツ畑の世界。
著者等紹介
プロイスラー,オトフリート[プロイスラー,オトフリート][Preussler,Otfried]
1923年、旧チェコスロヴァキアのボヘミア地方、リベレツ(ライヒェンベルク)に住むドイツ人の家に生まれる。ドイツを代表する児童文学作家
ホルツィング,ヘルベルト[ホルツィング,ヘルベルト][Holzing,Herbert]
1931年、ドイツのトリアーに生まれ、2000年、同地に没する。ドイツの著名な挿絵画家
吉田孝夫[ヨシダタカオ]
1968年、鳥取県生まれ。ドイツ文学者。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、奈良女子大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
97
プロイスラーを比較的集中して読んでいる一環のものでかかしが主人公の童話です。絵もプロイスラーの作品でよく見るホルツィングです。キャベツ畑の見張りを頼まれるかかしがさまざま動物や旅人とあったりお月様からの話を聞いたりします。キャベツの取入れの時期が終わるとかかしもその役割を追えます。あまり感傷的にならないのがいいですね。2025/04/19
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
71
ここはドイツのとある村。スズメに畑のキャベツを食べられないようにとキャベツ畑にかかしが立てられました。かかしの名前はトリビックリ・トーマス。 トーマスは喋ることは出来ませんが、人や鳥などの動物たちの声を聞くことができ・・。かかしが主人公ということで思わず手にしてしまった本。ギョッとさせられたところもありましたが、全体的にサラリと読めて面白かったです。ただし、くれぐれも先に後ろにある解説を先に読まないでくださいね。ネタバレになってしまいますので。★★★2013/02/17
ほりん
24
【オール・ハロウズ・イヴ(All Hallow's Eve)Fantasy読書会’22】イベント参加。ドイツの田舎のキャベツ畑に立てられた、かかしのトーマス。キャベツ畑を一生懸命見守りながら、人や動物や季節や空や風など、いろいろなことを見聞きし、体験する。そしてかかしの大きな願いは…。最後はちょっとびっくり。私は切なくなってしまったが、訳者のあとがきによると、ドイツ人には納得の結末だとのこと。そうかもしれない。ドイツの田舎の風景が丁寧に描かれていて、楽しかった。2022/10/06
美紀ちゃん
24
あとがきによると、かかしのトーマスは、とある春の日に突然命を与えられたかかしが、自分の周りの自然や、農家の人々の暮らしぶりを少しずつ、とても真面目に学びとっていく。そのトーマスが秋になり畑の収穫が終わるとあっさり焼かれてしまう。結末にビックリした人もいるかもしれないけど、ドイツ人はこれを特に残酷だとは思わないとのこと。かかしが秋に焼かれるのは季節の風物詩のようなものだそうで、そして何よりトーマスは風と1つになって広い世界へ旅に出る事を夢見ていたから。そっか。じゃ、ハッピーエンドなんだネ♬良かった!2018/03/06
カラスノエンドウ
13
大好きなプロイスラー♡『ホッツェンプロッツ』は子供と読んだ楽しい思い出です。そんな彼の初期の作品。 トーマスはかかし。見たもの聞いたものを感じ取って、キャベツ畑に佇んでいます。描かれるドイツの田舎暮らしをの〜んびり読んでいたら、ラストの展開が驚愕でした。そしてトーマスの顔のアップに度々ビクッとしてしまうのは私だけなのかなぁ…?2021/09/19