内容説明
イスラム教徒である作者が、アフガニスタンで実際に起きた事件をもとに、9・11以降の混乱、貧しさ、封建的な慣習、都市の西洋化、道徳の崩壊、信仰のゆらぎ、アメリカの援助の功罪、一方で信仰、人情、友情などを社会の内側から描いた力強い感動作。2009年中東図書賞受賞。
著者等紹介
カーン,ルクサナ[カーン,ルクサナ][Khan,Rukhsana]
パキスタン、ラホールに生まれ、3歳の時カナダに移住する。イスラム社会をはじめ、さまざまな国際的なテーマで子どものための作品を発表し、講演活動をおこなっている。国内外の数々の賞を受賞し、『ジャミーラの青いスカーフ』では2009年の中東図書賞を受賞している。トロント在住
もりうちすみこ[モリウチスミコ]
森内寿美子。福岡県生まれ。訳書『ホリス・ウッズの絵』(さ・え・ら書房)が産経児童出版文化賞に、訳書『真実の裏側』(めるくまーる)が同賞推薦図書に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ののまる
9
アフガニスタンの女性の状況や、孤児院の様子がよくわかる。友人がアフガニスタンの孤児支援をしているが、孤児院の院長がすべて支援金をネコババしてしまうと言っていた。この本は事実をもとにしたフィクションだけど、孤児院自体は理想的なところみたいになっているのかな。2018/03/19
動物LOVE
3
ヒドイ父親をもっても頑張っているジャミーラは強いと思いました。2015/09/01
順子
3
9.11後のアメリカ侵攻で生活を破壊されたアフガンの少女が、過酷な運命に翻弄されながらも、母の教えと信仰を支えに懸命に自立を目指す物語。イスラム教の礼拝、死者の葬り方、結婚式、そして服装、料理、掃除など、普段なじみのない中東の日々の生活の様子が興味深い。一方、学校での女の子の仲良しグループや対立などは、どこでも一緒だなあ、と日本人も共感できるのではないか。ストーリーも面白く、素直に感動出来る。対象年齢は小学校高学年からとなっている。たくさんの日本の子供たちにも読んでほしい。2011/04/03
soran
3
信仰心の篤い勤勉な少女が、亡き母の教えと神の教えを守って、鬼だらけの世の中でしっかりと「正しく」生き抜いていく物語。つい可哀想、という目線で見てしまう孤児院という施設の効用、そして学ぶことでどんな逆境でも自分を高め自立への道を歩めるのだということも教えてくれる。勉強をありがたくない義務としか感じていない日本の子供たちに是非そのあたりを読み取ってもらいたい。過酷な運命の連続ながら、エンディングは安定した未来を予感させてくれてほっとする。嫌悪感を抱いていた小さな女の子の保護者となるジャミーラの成長ぶりも嬉しい2010/12/29
enchan
2
アメリカとの戦いによって、ジャミーラが失ったものの大きさ、そして再び手に入れた自分だけの人生。母親の形見である青いスカーフを外して、新しいスカーフで生きてゆく強さに、女性への抑圧が厳しい中でも逞しく生きてゆくジャミーラの性格が強く表れていると感じた。2011/03/27