内容説明
19世紀の中頃、100万人もの人が餓死したといわれるアイルランドのジャガイモ飢饉。とある農村を舞台に、絶望と困難の中で生きのび、そして希望を見いだし生きぬいた少女の物語。ゴールデンカイト賞2001年オナー賞受賞。
著者等紹介
ギフ,パトリシア・ライリー[ギフ,パトリシアライリー][Giff,Patricia Reilly]
アメリカ・ニューヨーク市ブルックリン生まれ。20年間教師をしたのち、子供のための本を書き始め、60冊をこえる著作は広く子供たちに読まれ愛されている。『Lily’s Crossing』でニューベリー・オナー賞、ボストングローブ・ホーンブック・オナー賞等を受賞し、『ノリー・ライアンの歌』ではゴールデンカイト・オナー賞等を受賞している。現在コネチカット州在住
もりうちすみこ[モリウチスミコ]
1955年、福岡県生まれ。九州大学教育学部卒業
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感想・レビュー
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シュシュ
23
19世紀半ばのアイルランドのじゃがいも飢饉を生き延びた人たちの物語。 じゃがいも飢饉のことは 以前にウィリアム・トレヴァーの小説で読んだときも酷いと思ったが、この本でもやっぱり惨い状況だった。イギリスが地代を巻き上げた上に、じゃがいもが不作になって大勢の人が飢えた。そんな状況の中を12歳の少女が家族や近所の人のために勇敢に生きる。著者はアイルランド系アメリカ人で、じゃがいも飢饉の頃の移民の子孫。アイルランドらしく、子どもが妖精を怖がったり、薬草で治療する魔女のようなおばあさんが出てきた。読んでよかった。2018/08/10
ぱせり
12
重苦しい物語なのに、夢中で読み切ってしまう。力強くぐいぐいと引っ張られて。その力は怒りの力ではないのだと思う。もっと澄んだもの。歌。生活に密着した民話。父母の笑顔の記憶。飢えに苦しみながら気候とともに移り変わる風景の美しさに息を飲む。不屈の力は、土から瑞々しく生まれ出てくるよう。2012/06/24
星落秋風五丈原
9
ノリーは祖父や姉・兄・弟達とアイルランドで暮らしていた。ところが、じゃがいも飢饉がアイルランドを絶望的状況に追い込む。一人、また一人。家族がアイルランドの大地を去ってゆく。夢と成功を夢見てアメリカを目指す話は、今までにいくつも映画や物語で見てきた。また、住んでいる国に危険が及び、アメリカに安全を求めてやって来るユダヤ人達の物語も、同じ数だけ見てきた。けれど、この物語のように、自らの国に住んでいては、食べていけないから、アメリカを目指した人達の話は、今まで全く見かけなかった。2003/03/23
みよちゃん
8
はじめての作家。アイルランドでのジャガイモの飢饉で、生きていけなくなった人たちが、アメリカに移民した歴史。その事実、リアリティな小説が読めて、イギリスとアイルランドの事が少しわかった。勇気ある少女、家族愛、感じ入る。2018/08/18
がる
4
たった12歳のノリーの賢さと強さに関心。こんな風に、お腹がすいて、すいて、どうしようもないなんて経験ないもの。 食べ物を粗末にしない、無駄にしないということを改めて考えないとと思わされました。 アンナとの別れがさみしかったなー。 2015/04/22