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内容説明
著者牧野義雄(ヨシオ・マキノ)は、今世紀初頭、英国では著名な画家・随筆家だった。本書は、半世紀をロンドンに生きたこの日本人画家が、夏目漱石と同時代に渡英し、画家として名をなすまでの半生と、英国人たちとの交流、当時のロンドン事情を記した自伝である。主要作品もカラーで収録。
目次
1 芸術家を志して(英国へ到着;下宿のすてきな子供たち;絵描きとしての第一歩;貧困をくぐりぬけて;ノーウッドの墓石造り;野口米次郎との再会)
2 私を支えてくれた人たち(自殺の決意;開き始めた扉;「神々の寵児」;チェルシーの保守主義者;日本人の英国観;日本からきた友人たち)
3 ロンドンを描く喜び(『カラー・オブ・ロンドン』刊行;突然の入院と手術;退院までの日々;画家として認められる;広大な海ロンドンで暮らして)
私が愛した霧のロンドン
ヨシオ・マキノとの出会い(M.H.スピルマン)
恒松さんとヨシオ・マキノ(関口英雄)
ヨシオ・マキノ略年譜
ヨシオ・マキノ著作目録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
em
10
1910年ロンドン、日本人画家が英語で執筆した自叙伝。訳者はロンドン漱石記念館長。英国人による推賞文では「独特の日本式英語」が好意的に評され、実際かなり売れたのだとか。あえて例えるなら、おぼろな霞に包まれた夜のロートレックといった画風に似つかわしい、至極涙もろく柔らかな心の持ち主だったよう。イギリスの商売人を守銭奴と毒づきつつも、隣人を信じる愛らしい人という印象でした。2017/07/02
isao_key
5
1897年から半世紀にわたり英国で画家として活躍した牧野義雄。本書は1910年に英国で発刊された『日本人画工倫敦日記』の全訳である。倫敦漱石記念館長である訳者の恒松氏が漱石調査に入った1976年に大英博物館の前の古書店で見つけたのが本書である。内容はまだ名の売れる前の生活などを書いた英国滞在記。同時代に夏目漱石も留学していた。非常に困窮をしながらでも夢を失わずに異国で奮闘している姿が迫ってくるエッセイである。多くの英国人の助けを得たエピソードがあるが、牧野自身も思いやりがあり正直であったことがよく分かる。2014/05/01