内容説明
ノーベル賞作家である著者は、アメリカ再発見を志し、愛犬チャーリーを連れて、自らキャンピングカーを運転するアメリカ1周の旅に出た。この作品は、そのときの孤独と模索の旅行記で、文豪一流のユーモラスな筆致で迫る“変わらざるアメリカ”の姿は、凡百のガイドブックにまさる、アメリカの本質への案内でもある。
目次
1 旅立つまで
2 ニューイングランドと中西部
3ロッキーを越えて西海岸へ
4 テキサス、そして南部
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yyrn
23
私の思考?志向?嗜好?はたぶん、1960~70年代で止まっているのだろう。6年半前にも読んだが、今回また読んで、しみじみと分かるのだ。ベッド付き改造車に愛犬を乗せて全米を一周した58歳の作家スタインベックが各地で見聞きした様子や、出会った様々な人々の反応などが、行ったこともない国の昔々の事なのに、そんな時代の雰囲気を不思議と分かったような気にさせてくれる、優れた紀行文なんだと思う(政治の話除く・笑)。この時代の明るさをいつまでも持っていてもらいたかったが、半世紀後にあんな下品な男が大統領になるなんてねえ2020/11/03
kan
18
面白かった!観察眼の鋭さと人間分析の深さに加えユーモアも散りばめ、生き生きと60年代のアメリカ各州の様子が綴られる。ロードトリップエッセイの趣が一変するのは西海岸を過ぎ、「摂取できる限界を越えてしまった」後に南部に入った時だ。アメリカに触れ、感じるための旅という目的におさまらない、深く根差した黒人差別と公民権運動での衝突を目の当たりにし、急にトーンダウンし帰路を急ぐ様子がエッセイの名を借りた小説のようで想像を掻き立てる。60年前の人種間緊張をはじめ現代とも繋がるテーマが数多く、原書で再読しようと思った。2022/10/30
ぐるぐる244
7
58歳のスタインベックによるアメリカ一周の旅行記。旅に出たのは1960年。今から60年近く前のこと。4カ月の旅なんて長くもないし、装備も豪華だし…と思っていたのだが、他の方の感想を読み、若者ではなく、名を成した58歳の作家が旅に出るのは、覚悟のいることだったのだな、と。妙に現実感のない高速道路を使ってトラック輸送する運転手たちの描写は60年前とは思えない。他にも放浪のシェイクスピア俳優との出会いや南部での黒人解放運動のうねり、など。ディアアイル島。わざわざ遠回りしたのに町の描写が全くないのはなぜ?2017/05/11
テツ
6
スタインベックが愛犬チャーリーと共にキャンピングカーで旅をして回ったアメリカの土地土地の記録。いや素晴らしい。簡単に単純に言えばドライブをしながらの紀行文ではあるんだけれど、旅というものへの憧れ、見知らぬ土地を訪れるときの胸の高鳴りというのは誰にでもあるものであって、そんな胸躍る旅の記録をスタインベックの文章で書いてくれるのなら、そんな本は絶対に楽しくなるに決まっている。自分も老後にこんな穏やかな発見に満ちた旅をすることができたらいいなあと思いながら読了。2016/01/24
茶坊主
3
1960年、作家として十分に成功した58歳の スタインベック。 「自分の目で本当のアメリカを見よう」と 愛犬とともに車中泊の旅に出た・・・ 「怒りの葡萄」で挫折して以来、 著者の作品は読んだことがなかったけど こんなに魅力的な文章を書く人だったのか と、新鮮な驚き そして、生産と消費を繰り返す工業社会の行く末を憂い 南部での人種問題に暗澹とする・・ 作家の深い洞察力がユーモアにくるまれて あちこちにちりばめられている 読み返したくなる一冊 2021/07/02
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