内容説明
昭和天皇の葬儀と皇位継承の儀礼は、靖国神社公式参拝や忠魂碑訴訟が喚起した「政教分離」について、改めて論議を呼び起こしている。それは政治と宗教の分離か、政府と教団の分離なのか。「天皇人間化と国家神道解体」を基軸とするこの問題に、比較宗教学の観点から日本とアメリカの政教分離の核心を、冷静に検証する。
目次
日米の「政教分離」観―プロローグ
1 国家神道の解体と政教分離―GHQの対日宗教政策(国家神道の解体と天皇の人間化;新憲法による新しい国体の定着―日本は占領政策をどう受け入れたか;占領とキリスト教―キリスト教を支援したマッカーサー)
2 アメリカの宗教と政治―台頭する保守主義と政教分離(現代アメリカの保守主義と宗教的次元;宗教と政党支持;保守主義を支えるテレビ教会;政治を動かす宗教者たち;アメリカの政教分離と大統領選)
3 政教分離は可能か―政治と宗教のマージナリティ(政治と宗教の関係;宗教活動と政教分離―供養金は宗教行為か民事契約か;忠魂碑は宗教施設か―箕面忠魂碑訴訟鑑定書より;反神道運動の政教分離操作―村上重良氏の「鑑定書」を批判する)
日本の近代化と信教の自由―エピローグ
資料 信教の自由運動