内容説明
うつは今や「誰でもなりうる病気」だ。しかし、治療は未だ投薬などの対症療法が中心で、休職や休学を繰り返すケースも多い。本書は、自分を再発の恐れのない治癒に導くには、「頭(理性)」よりも「心と身体」のシグナルを尊重することが大切と説く。つまり、「すべき」ではなく「したい」を優先するということだ。それによって、その人本来の姿を取り戻せるのだという。うつとは闘う相手ではなく、覚醒の契機にできる友なのだ。生きづらさを感じるすべての人へ贈る、自分らしく生き直すための教科書。
目次
第1章 「うつ」の常識が間違っている
第2章 「うつ」を抑え込んではいけない
第3章 現代の「うつ」治療の落とし穴
第4章 「うつ」とどう付き合うか?
第5章 しっかり「うつ」をやるという発想
第6章 「うつ」が治るということ
著者等紹介
泉谷閑示[イズミヤカンジ]
1962年秋田県生まれ。精神科医、作曲家。東北大学医学部卒業。東京医科歯科大学医学部附属病院、神経研究所附属晴和病院等に勤務したのち渡仏、パリ・エコールノルマル音楽院に留学。帰国後、新宿サザンスクエアクリニック院長等を経て、現在、精神療法専門の泉谷クリニック(東京・広尾)院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シキモリ
21
2010年に発売された単行本に加筆修正を加えた新書版らしい。著者の言う『うつは生まれ直しのプロセス』というフレーズに惹かれて手に取る。投薬治療に代表される西洋医学の実力行使的なアプローチに対し、自然治癒を目的とした精神療法を主とした内容となっている。戦後から高度経済成長期における<ハングリー・モチベーション>の時代が終焉した成熟社会において、社会に過剰適応する必要性については私も常日頃から疑問を抱いているが、今だ閉塞的で余裕のない日本社会において長期的かつ寛容なアプローチは浸透し難いのが現状なのだろうか。2021/08/11
ちから
15
unlimited。うつの症状は心の叫び。頭だけで制御して無理を続けることで疲れてしまい、うつになる。(〜しなきゃ、〜すべき。生産性、有意義にすごさなきゃ、等)心=身体 を大切に。頭でっかちにならないように。余白を持とうと思いました。何か身体にサインが出たら、心がSOSを出してる可能性を考えてみてください。無理してないでしょうか。(私は最近動悸、耳鳴りがあって、多分ストレス!穏やかにすごそうと思います)2022/11/16
アイロニカ
12
「うつ」を治すべき病として捉えるのではなく、自然から掛け離れて歪な形で適応=麻痺せざるを得ない現代社会への警鐘として見つめ直す哲学的な本である。「頭」と「心」と「身体」を使った抑うつ症状の理解は、エニアグラムの3つのセンター理論やマンモスを狩る人々の進化を思い出し興味深かった。理性的で常識的な「すべき」思考を手放し、心と身体が本当に欲している小さな声に耳を傾ける。ちょっと情緒に走ったエッセイのようなきらいもあるが、未来への不安と情報に踊らされるままに人生を無為に終えたくはないなと考えさせられた。2021/09/09
Shohei I
9
精神科医である著者が「うつ」という病気とその要因から、「うつ」という病が持つメッセージについて書かれた一冊。 「うつ」になる要因として、理性と心のバランスがとれなくなったことをあげています。「すべき」と「したい」がかみ合わず、心が悲鳴をあげているのが身体に現れるのが「うつ」。 そう捉えると、「自分が本当はどうしたいのか」と考える契機とも言えます。「うつ」という病をネガティブなものとしてとらえるのではなく、新たな自分の人生を考えるきっかけとする。今、心が弱っている人に読んでほしい一冊でした。2022/10/24
あつき
8
うつは「心 =身体」が「頭」の長期的な圧政によって疲弊してしまっている状態。解決するためには心主権にして感情に素直になることが大事。感情には怒→哀→喜→楽という順番がある。つまり、怒りを抑えてしまう限り、楽しい感情は生まれない。うつは再発しやすい。うつからの本当の脱出とは、元の自分に戻ることなのではなく、モデルチェンジしたような、より自然体の自分に新しく生まれ変わるような形で実現される必要がある。周囲の人にできることがあるとすれば、その人自身が「頭」支配を脱した存在になることを目指すこと。頑張りたい。2024/01/08
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