内容説明
オリオン座の中で明るく輝く赤い星ベテルギウスは晩年を迎えている。星が一生の最後に自らを吹き飛ばす現象「超新星爆発」。ベテルギウスは今、いつ爆発してもおかしくない状態にある。地球からこんなに近くで起きる超新星爆発は史上初のこと。過去、超新星は数々の宇宙の謎解きに役立ってきた。ベテルギウスが爆発したら何が起こるのか?二〇一一年にノーベル物理学賞を受賞した「宇宙の加速膨張」という衝撃的な事実は、どのようにして明らかになったのか?超新星の最新研究をやさしく解説する。
目次
第1章 ベテルギウスに爆発の兆候?!
第2章 星の誕生と進化
第3章 たそがれを迎えた星たち
第4章 宇宙の扉を開く
第5章 宇宙はどこまでわかったか
第6章 加速膨張する宇宙の発見
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月讀命
69
澄み切った冬の夜を飾る天空で一番有名な星座であるオリオン座。その一角のベテルギウスが近い将来『超新星爆発』を起こし、人類史上最大の天体ショーが始まるという事だ。肩にあたるベテルギウス(巨人の腕:赤い一等星)が無くなったら、オリオン座は何座になってしまうのでしょうか。リゲル(青い一等星)だけでは、オリオン座は甚だ淋しい気がします。ちなみに、リゲルは足という意味で、靴のメーカーの[リーガル]は、これに由来すると以前プラネタリウムで聞きました。今見ている光は640年前のものだから、もう既に存在していないのでは?2012/01/05
mitei
58
宇宙の科学?の今現在分かっている基本的なところを忠実に抑えた印象。太陽が超新星爆発起こす時を見てみたいがさすがに生きてる間にはなさそうだな。2012/02/03
マーム
28
オリオン座アルファ星のベテルギウスに超新星爆発へ向かうと見られる兆候ありと記事になっていたのは2011年1月のこと。2012年にも爆発するとされていたが、いまのところ兆候なし(笑)。ベテルギウスが爆発したら満月と同じくらいの明るさになると言われていますから、かつて藤原定家が『明月記』に「客星」と書き記したかに星雲の超新星爆発のように、昼でも見えるのか、興味が尽きません。本書はそのことに限定せず、宇宙の姿を解明しようとする天文学者たちによる天体観測の歴史、天文学の現時点における到達点にも言及しています。2012/03/12
shinano
22
地球から最も近い赤色超巨星ベテルギウスの超新星爆発を見出しにした、野本さんの超新星を軸として宇宙論と天体物理学講演の要約本のような印象だった。新書らしい解かり易さであり、これまでに読んできた何冊かの宇宙論や天文学歴史等の概括的復習の一冊となった。序盤でのベテルギウスの超新星爆発に関するメディアの報道が、天文現象が含有する不確か性を説明できておらず、印象操作をして煽るのが情けなく思う。そしてそれを真に受け知識の無さでの「どうなるのだ!?」「地球は大丈夫なのか!?」で騒ぐ人々へこの一冊の効き目を期待したい。2012/02/05
ikatin
20
これまでの宇宙論全般のオーバービューの部分は良しとして、超新星に特化した部分は大変興味深かった。やはり奥が深い。超新星以外にも宇宙の灯台になり得る現象がみつかればいいのにと真剣に思う。2012/11/11