内容説明
底なしの不況に落ち込んだ今、急増する貧困層を食い物にして儲けるビジネスが跋扈している。「敷金・礼金なし」で貧困層を誘い込み、ほんの数日の家賃滞納で法外な違約金を請求する「ゼロゼロ物件」。多重債務者にニセの養子縁組をさせてさらに借金を重ねさせる「リセット屋」等々。なけなしの金をむしりとり、貧困層をさらなる困窮へと陥れる「貧困ビジネス」は、もはやモラルをかなぐり捨てた、日本経済の末期的症状の象徴だ。気鋭のエコノミストがその実態を生々しくレポート。
目次
第1章 食いものにされるワーキングプア
第2章 世界中に蔓延する「貧困ビジネス」
第3章 ますます悲惨な非正規雇用の実態
第4章 「安全」より「安さ」を選ぶしかない人たち
第5章 台頭する貧困対応型セックス・ビジネス
第6章 「規制強化」は貧困層を救うのか
著者等紹介
門倉貴史[カドクラタカシ]
1971年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、(株)浜銀総合研究所に入社。(株)第一生命経済研究所主任エコノミスト等を経て、2005年7月よりBRICs経済研究所代表を務める。08年度同志社大学大学院非常勤講師。専門は、日米経済、アジア経済、BRICs経済、地下経済と多岐にわたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
109
所得格差が拡大している社会で、弱い立場にある貧困層から搾取する構図を幅広く説明しています。ゼロゼロ物件、貸金業、ヤミ名簿、ホームレス搾取、ねずみ構、非正規雇用…。詐欺にかかる人も悪いと言う人がいますが、明らかに詐欺をする人が悪いです。人の良心に漬け込む、貧困をビシネスにしようと考える人たちの価値観はお金だけなのでしょう。人を騙して、自分だけがいい思いをして、あなたに何が残るのでしょうか。他人の生活を荒らす権利はないはずなのに…。読み進めるのが辛い本ですが、全ては現実なのでしょう。悲しみは増すばかりです…。2019/06/08
kinkin
48
貧困者をターゲットにした新しいビジネスがどんどん増えているそうだ。いや確実にふえてきた。振り込め詐欺も年々その手口は巧妙化し被害が増加、ワーキングプアと言われる人に対してはあの手この手でお金をむしり取る。しかし世の中からそんな弱者に対しては冷たい姿勢がまかりとおっているのではないか。大企業にたいする優遇政策の結果、まさます貧困は増加し取り残されるではないか。情報としては参考になったと思う。これからの対応についてどうすべきかも書いて欲しかった。2014/09/02
るっぴ
25
貧困ビジネス、貧困者から、むしり取っていく。惨すぎるビジネス。貧困に堕ち入らないよう、頑張っていこう!2015/10/05
B.J.
21
●肥満の度合いが貧困の程度を示すバロメーター。 ●グラミン銀行 :バングラデシュで設立。小口融資の事業主体。 →660万人の人たちに総額50億ドルを無担保で貸し付けて、なんとその98%がきちんと返 済されている。高い返済率の秘密は、融資先の97%が女性。この国の女性は、家族を守らなくてはならないという意識が男性に比べて強く、借りたお金を有効に使って、必ず返済をする。銀行も貸し倒れが発生しないように、利用者を5人単位のグループとして、返済が滞らないように相互に監視をさせるなどの工夫。 ・・・本文より2020/03/28
しぃたろ@記録の一部が消失:(
20
本書には貧困層(低所得層)を餌食にした悪徳な貧困ビジネスの現状と、その改善策が纏められている。広く浅く簡潔に纏めたという印象は拭えないが、内容がきちんと整理されていて分かり易かった。経済に詳しくない私でも十分理解出来る。テレビで見る著者のイメージが良い意味で覆された一冊(笑)2016/01/24