内容説明
巨匠フルトヴェングラー亡き後、音楽界の頂点、ベルリン・フィル首席指揮者の四代目の座を掴んだ男、ヘルベルト・フォン・カラヤン。彼は類い稀なる才能と権謀術数を駆使し、ザルツブルク音楽祭、ウィーン国立歌劇場他、名オーケストラの実権を次々掌握、前代未聞の世界制覇を成し遂げる。何が彼をかくも壮大な争覇の駆け引きに向かわせたのか?盤石だったはずの帝国に迫る脅威とは?二十世紀音楽界ですべてを手にした最高権力者の栄華と喪失の物語。
目次
第1章 帝国の建設(三方面作戦;ザルツブルク陥落;ベルリンとの駆け引き;ウィーンの陰謀劇;拠点としてのロンドン。ミラノ;帝王の誕生)
第2章 栄光と翳り(ロンドンとの離別;首都陥落;失われたイタリア;新たなる祝祭)
第3章 落日(潰えた世界戦略;ベルリンの叛乱;最後の日々)
著者等紹介
中川右介[ナカガワユウスケ]
1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒。カメラ雑誌編集長等を経て、現在「クラシックジャーナル」編集長。出版社「アルファベータ」代表取締役。海外の出版社と共同・提携し、二十世紀に偉大な足跡を残した芸術家や文学者の評伝の翻訳書を出版する傍ら、自らもクラシック関係の著書を執筆。70年、80年代の歌謡界にも精通する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Gen Kato
3
『カラヤンとフルトヴェングラー』に続いて。現代音楽史の勉強になりました、というより、ひとつの世界でトップを取り続けるイコール権力を握りこむ、ってことなんだと学んだ感じ。クラシックの世界に限らずどこでも起きていることだよね…2019/01/11
ざび
3
「カラヤンとフルトヴェングラー」の続編とも言える本。前作では「トリスタンとイゾルデ」が、本書では「フィデリオ」が象徴的な曲として目につく。まだ聴いていないので図書館に予約しよう。2011/05/15
叛逆のくりぃむ
2
フルトヴェングラー亡き後、君臨した帝王の落日と孤獨が感じられる。2014/03/29
巨峰
2
「カラヤンとフェルトゲンブラー」に続く時代。音楽性については語らずに、カラヤンの野望とその拡大がテーマとなる。カラヤンの音楽を聴くには、もしかしたら余計な知識かもしれないです。2009/12/04
K
1
「カラヤンとフルトヴェングラー」の続編に位置する。「カラヤンの音楽性は~」や「重厚なドイツ音楽を~」などの音楽面からは距離を置き、カラヤンがどれだけ政治的に(そして時には感情的な)主要なポストについたかが分かる。2020/03/17