内容説明
マネーロンダリング(資金洗浄)とは、テロ資金や麻薬・武器密売・人身売買などの犯罪で得た収益を、海外の複数の金融機関を使って隠匿する行為をいう。本書ではカシオ詐欺事件、五菱会事件、ライブドア事件などの具体的な事例をもとに、初心者にもマネロンの現場が体験できるよう案内した。専門知識はなにひとつ必要ない。グローバル化、大衆化したマネロンによって、いまや世界の仕組みが変わりつつあることを読者は知るだろう。
目次
第1章 世にも奇妙な金融犯罪(発端;計画 ほか)
第2章 プライベートバンクの憂鬱(プライベートバンクとは何か;香港マネーロンダリング事件 ほか)
第3章 北朝鮮はなぜ核兵器が必要なのか(ドルを支配する者;マネーロンダリングへの入口 ほか)
第4章 世界でいちばん短いマネロンの歴史(神の銀行家;犯罪銀行 ほか)
第5章 誰でもできるマネロン(ハンドキャリーと地下銀行;国際租税回避 ほか)
著者等紹介
橘玲[タチバナアキラ]
作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。2002年、金融情報小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
281
タックスヘイブンなど世界が揺れている中、マネーロンダリングについて書かれた1冊は面白く読めた。しかしすごく複雑なお金の流れになってて驚く。2016/06/05
ごへいもち
25
世の中知らないことばっかりだなぁ。お金がなく才能も地位もない庶民なので気楽とも言えるけど。酷い世の中。1978年ローマ法王ヨハネ・パウロ1世がバチカンの暗部を正そうとして暗殺されたことすら知らなかったし、もちろん続くポーランド出身のヨハネ・パウロ2世(この名前は1世の遺志を継ぐ決意としてだったそうだが)以下が実態を知って保身のために臭い物に蓋をしたことも、その後もバチカン銀行がマネロン装置として機能し続けていることも。(コメントに続く2012/09/21
雲をみるひと
22
今から約20年前に発売されたマネーロンタリングの解説本。マネロンの歴史やその当時行われていた事例が取り上げられ、各々手法もが図を使って丁寧に解説されている。当時とはタックスヘイブン税制や金融商品、その背景の環境が大きく変化しているが、マネロンが行われる理由など根本的には変わっていないと思われる点で今でも参考になる本だと思う。2024/02/20
ビイーン
22
グローバル資本主義の裏の顔を赤裸々に見せるノンフィクション。本書に登場する数奇な経歴の人達は実存している。マネーロンダリングの大衆化は世界の仕組みを変えていた。この国で生きていくしかない自分は随分と損をしている事に気づく。2017/02/08
磁石
18
マネーとは本質的に、多国籍的・無国籍的なもの。より税制の緩い・無い場所へと流れていく、大量に集まっているなら分散しようとしない/させない。マネーロンダリングは、そのグローバルなマネーとドメスティックな国との矛盾・葛藤によって生まれた技法。犯罪と見られているがやり方次第では合法で、観光資源もない小国では富裕層を集めるために勧めてもいる。マネーを大量に持っている富豪ならば、生まれた国にも籍を置き続ける必要はない、置かないことがマネーを集めることに繋がる。匿名を維持し、究極は人であることすら辞めるべき。2016/03/13
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