内容説明
紫式部が批評したのは、はたして清少納言の人柄なのか?宮中にひしめく醜悪な人間模様を通して、紫式部が示す人間の在り方とは?執筆に大きく関わった藤原道長に対する想いとともに、紫式部の心に迫る。
目次
第1章 紫式部の輪郭(紫式部の生い立ち;紫式部を取りまく人々と「耳学問」事始め ほか)
第2章 『紫式部日記』解読(『紫式部日記』はいつ、何のために書かれたか;中宮彰子の出産の前後 ほか)
第3章 紫式部の心を覗く(五百人の登場人物が織りなす人間模様;紫式部の鋭い人間観察力 ほか)
補章 私の『源氏物語』遍歴(『源氏物語』との出会い;谷崎源氏の挿画のこと ほか)
著者等紹介
田中宗孝[タナカムネタカ]
1941年、奈良県生まれ。64年、東京大学法学部を卒業。国家公務員・地方公務員を経て、99年、日本大学法学部教授、2011年10月、退職
田中睦子[タナカムツコ]
1943年、熊本県生まれ。66年、共立女子大学家政学部を卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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魚京童!
7
源氏物語の作者は藤原為時で、細かな所を娘の式部に書かせたのだとの説2015/07/27
MIO
1
光る君へから。色々な人が色々に考えられるものなのだなあ。モナリザの絵に「嘘は全くいやしいもの…神性から優美さを失う」光源氏が理想的だと思われていたり、情事とドンファンだけが強調されていたりしてたとは知らず。嘘はよくないという立場で読むというのが新鮮。夫婦で読み解くというのも面白い。紫式部は哲学家。主観的普遍性!日本人の愛の心とものの哀れ…上野栄子。古典の日宣言「風土と歴史に根ざしながら…人間性洞察の力と表現の美しさに…想いを深くし、心を豊かにしてくれる…魂を揺さぶり、人間とは生きるとは何か…立ち返らせる」2024/03/10
はちめ
1
専門性と素人性、フィクションとノンフィクションがあいまった面白い造りになっています。夫婦合作というのも珍しい。源氏物語の読みにはとても参考になります。2015/08/08
お抹茶
0
『紫式部日記』を手掛かりに紫式部の人となりを読み解く。父親の藤原為時の学識や識見は紫式部の物語執筆に不可欠だった。教養はあったが,自己顕示を避け,自分の姿や学識が人目に付かないようにした。道長から歌を詠めと言われても,あえて詠まなかった。和泉式部は文才があるものの歌はとびぬけて優れてはいない,赤染衛門も本人が思っているほどたいした歌人ではない,清少納言は利口ぶっているが不行き届きな点がたくさんある,と評す。宇治十帖は「虚」の物語で,それを象徴するのが浮舟の周辺。2017/11/19