内容説明
戦国期、この明日をも知れぬ不安定な時代に、身分を問わず人々は生前に法事を行った。これを「逆修」という。子が生存する親のために、妻が健在の夫のために、などの形で逆修は営まれた。そもそも平安中期の貴族が、生前盛大な仏事を行ったのが始まりで、鎌倉時代に入ると盛大な仏事より、逆修を修した証として碑などに刻むようになった。その石造物は板碑を始め、五輪塔、宝篋印塔、石灯籠、自然石などで特に形は決まっていない。丹後地方に現存する多くの逆修信仰の痕跡を通じて、中世の人々の死生観に迫った画期的な研究書。
目次
第1部 丹後一色を狙う武田・細川連合(一色義貫と一色氏の落日;一色義直の領国経営;勘合貿易と武田・細川同盟;連合軍の丹後攻略)
第2部 逆修信仰と地方色(逆修信仰とは何か;逆修信仰と丹後;丹後の逆修塔)