内容説明
『天津風の田に毒をまいた。残りの山田錦が惜しかったら、五百万円用意しろ』烏丸酒造に届いた一通の脅迫状。見れば一本百万円を超える純米大吟醸酒の元となる田の一角が枯らされていた。捜査の過程で浮上する、杜氏の死にまつわる事件の疑惑。そして、脅迫犯が突きつける、前代未聞の要求とは―。密室の謎とアリバイ崩しに挑む、菌も大活躍の発酵醸造ミステリー。
著者等紹介
山本モロミ[ヤマモトモロミ]
神奈川県藤沢市出身。上智大学理工学部化学科卒。化学系エンジニア。酒造用グルコース測定装置の開発に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オーウェン
54
水田に毒を撒くという脅迫状が届くが、それは1本100万円の高額の山田錦。 そして過去に杜氏が殺される事件があったことをジャーナリストの葉子は突き止める。 場所が酒造というのが珍しく、犯人を探すミステリだが、いかにして日本酒が造られるのかや、酒自体の歴史も蘊蓄のように語られる。 こちらの方が主題というぐらいに豊富で、まるでお仕事小説のようだ。 それに比べるとミステリ部分の方があっさりな感覚。 確かに犯人当ては凝ってはいるが、動機や存在感が弱いので微妙という結論だった。2020/12/20
薦渕雅春
31
お友達の本。『天津風の田に、毒をまいた。残りの山田錦が惜しかったら、五百万円用意しろ』との脅迫状が届く。世界一の純米大吟醸酒が、生まれる田んぼ。世界一とも謳われる烏丸酒造の特級田の片隅で山田錦の一部が息絶えていた。本著で得た日本酒の知識も。「外側を四割磨けば、純米吟醸酒。半分以上磨けば、純米大吟醸酒になるんじゃけ」「米を磨くっていうのは、削るってことじゃ」犯人からの次の要求が変わっていた。「五百万円で、月曜の兵庫新聞朝刊に、全面広告を確保しろ」犯人もチョッと意外だった。ミステリーとしてもよく練られていた。2021/01/26
けえこ
10
初読の作家さん。 説明多すぎて、途中飽きた。 仮想の「脱法ライス」、おにぎり食べてラリるとか、ネタはそれなり面白いかも。 2021/09/03
いなばさくら
7
長編ミステリ。題名はともかく作家名がちょっとおふざけっぽいので、てっきりバカミスに近いような内容を想像していましたが、なかなか社会ネタも織り込んだ普通のミステリでした。作家さんは理系らしいしそんな知識もちょこちょこ出てきますので、ひょっとしたらわたしが最近好きな理系ミステリのジャンルで大化けするかも!2021/07/18
山本博樹
5
面白かった〜! でも、やられた! 見事な一本背負い、投げられた〜 そういうことかぁ〜 悔しいぃ 走馬灯のように、伏線の数々が、頭の中を駆け巡る。 なるほどですね 日本酒造りの勉強の復習を兼ねて、 もう一度、最初から伏線チェックしつつ、 読み直してみようっと。2020/11/04