内容説明
第二次世界大戦―満州に出兵した四郎が目にしたのは、壮絶な地獄絵図だった。あまがえるに姿を変えた四郎は、銀杏の大木に、ぽつりぽつりとあの日々のことを語り始める。実話をもとに書かれた小説が、人として大切にすべきこと、平和の意味を静かに、力強く問いかける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
70
図書館新刊本で見つけタイトルに惹かれて。自費出版本らしい。戦争で人を殺した罪の意識から死んでも「あまがえる」になり、銀杏の木と語り合う。戦争の悲惨さを伝える寓話として書きたかったのだろうが、途中から作者自身の私小説のようにもなっていく。少し焦点がボケているようにも見える。それでも、自費出版してでも伝えたかった作者の気持ちは、あまがえるに宿っていると思う。2019/08/22
もも
0
気になっていてやっと読んだ本。戦争の話かと思っていたら、戦争中から今に至るある家族の物語。男尊女卑と家長制の色濃い時代にいきる女性の立場の弱さがつらい。あとがきまで読んで、作者の思いと不思議な巡り合わせに不思議な読後感。2022/09/23