内容説明
どんな家庭でも起こり得る事故で親が虐待を疑われ、子どもと会えない日々を送るケースが後を絶たない。そんな彼らの苦しみを晴らすべく、50年のキャリアをもつ専門医が立ち上がる。虐待を疑われた親たちと、病院・児童相談所のやりとりの記録や、数々の専門資料をもとに「無実の罪」が生まれた原因を徹底追及。冤罪被害のメカニズムを洗い出した、渾身の一冊。
目次
第1章 2019年4月東京で(深夜のメール;事故・入院・親子分離;奪還作戦開始;引き取り後の指導;カルテから見えるもの;児相を揺さぶる)
第2章 2016年3月第三者がいて(第三者の目撃;無視された意見書;潮流の変化)
第3章 2018年4月福岡で(冤罪被害者からの付託;意思確認のあとで、公表へ;自衛せよ;開示された児童相談所の公文書;画像・カルテ開示;12月日本子ども虐待防止学会にて;長い親子分離期間)
第4章 「中村I型」受難の理由(「中村I型」とは;わが国のSBS判定基準の統計と妥当性;日本に多い理由と決着の方向)
第5章 見直しと方向性(研究者・専門医師からの視点―社会心理学者・放射線科専門医・小児脳神経外科専門医・社会福祉学者;関係者からの反響―現場の小児科医・脳神経外科医・冤罪被害者から)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃが
53
虐待が疑わしい場合も通報で救われる子どもも多いが、このは揺さぶられっ子症候群で医療からの通報には問題がある場合があり、虐待という冤罪をうんでいる事例や対応を告発。どんな家庭でも起こり得る事故で乳幼児の子どもが倒れ、後頭部を打つことも多いが、未熟な医療者が児相に通報すると、子どもは隔離され、疑われた親たちは面会も許されない、その後、児相のマニュアルに沿い長く苦しむ家族と家へ帰れない乳幼児がいる。以前に関わっていた児相と変わっていないのが残念、もっと専門性のあり、個別の対応や傾聴ができる機関になってほしい。2020/04/27
なお
1
揺さぶられ症候群の冤罪問題に挑む、ベテラン脳神経外科医の活動記録。 医学と社会の問題が複雑に絡まり合い、専門家同士でもなかなか意見がまとまらない。 その狭間で冤罪をかけられ苦しむ家族と家へ帰れない赤ちゃん。 権威主義や保身を捨て、真実を見極めて欲しい。2019/12/27