内容説明
避暑地にひっそりと佇む会員制別荘。そこで客の望むあらゆるサービスを提供するのが、拓実の仕事だった。粛々と務めをこなしていく拓実だが、会員のひとり、小説家の桐原と対する時だけはとても心穏やかでいられない。拓実に「恋人同士のように」過ごすことを求めながらキスひとつしない夜は、かつて互いに抗い難く恋に落ちた相手だったのだ―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黎明卿(禍腐渦狂紳士タッキー)
94
【今度こそ、俺のそばにいてくれ(秀征)】エロス度★★小説家の秀征×鶲荘という鳥籠に囚われたナイチンゲールこと拓実♡両想いなのに拓実を鳥籠から救い出せない秀征のもどかしい気持ち、かつて燃えるような恋をした秀征とキスさえできない関係に狂おしいほど胸を焦がす拓実の悲壮さがとても印象的でした。唯一の拓実の救いは最初の純潔を秀征に捧げられたことと、モブ会員たちとの絡む描写がなかったことかな。個人的には悠希也の新たな恋も気になりますね。色々あったけど拓実が秀征によって鳥籠から救い出されて本当に良かったです。2019/05/20
きょん
17
現代の身請け話。父親のDVや借金で会員制別荘の管理人兼接待役から身動きが出来ない受の辛さと攻めへの切ない思いは堪能できたけど、やっぱり現代で借金の形での身売りは抵抗があるなあ。2019/06/02
華緯
10
電子。意外(…失礼;;)。“いつもの”きたざわさんじゃなかった。受けは出会い頭から落ちる気満々じゃないし、攻めは余裕たっぷりじゃない。デバガメな周囲もいない。何より受けに意思がある。いろんな経緯をすっ飛ばして、それまでも拓実の言動に乗せられてたけど、誘拐された先で悠希也に心を吐き出したところはぎゅっときた。面白かった。…この時代に“売春宿”なんて理解したくないけど、やり方に納得はした。人はもちろん厳選しただろうし。…だから、拓実が許しはしないけど納得したのも理解できた。(…言葉遊び;;)2019/06/13
tanya
6
作家買い。籠の中でいた拓実は頑張って不幸な境遇から抜けたし、桐原は粘って拓実を引き取ったしメデタシなんだけど・・真木瀬と悠希也の係りが何とも不可欠な要素にも思えず・・な感じでした。一気読み。2020/05/06
蓮
6
小説家・桐原と鶲荘という鳥籠に囚われた・拓実。以前は恋人同士だった二人が、拓実の父親のDVと借金の為に鶸荘で「管理人」となり籠の鳥状態でゲストに身体も含めたおもてなしをする…拓実の一人娼館!?桐原を想い待ちながら仕事をする拓実と彼を諦めきれずこの境遇から助け出そうとする桐原、見つけ出し身請けするもの断られるという。両視点で双方の感情や葛藤が読めて桐原の葛藤を想像するとグッとくるものがある。美しく、翳りある美青年を籠の鳥状態で閉じ込めているおっさんの独自の美学に苦笑。2019/06/02