内容説明
美大に入ったものの己の限界に気づき、進路に迷う硅太郎。努力家ゆえ模写の技術と真贋を見分ける眼だけは無駄に磨かれた。ある日、校内で見かけた制作途中の絵から圧倒的な才能を感じ打ちのめされた硅太郎は、その作者、銀示の常軌を逸した行動と魅力的な容貌に惹かれてゆく。しかし銀示の生活能力の欠如には生い立ちが深く関係しているようで?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
きょん
22
「トイチの男」に出てきた画廊経営夫夫の馴れ初め編なんですね。銀示君の生い立ちがかなり特殊で、周囲の大人達がもうちょっと何とかしてやれよ!と歯がゆく思いながら読んでました。とことんまで追い詰められたところで一発逆転っていう展開は「トイチ」と似てるかも。そして何より「瑠璃や」の先代がいっぱい出てたのが嬉しかった、やっぱカッコいいわ~。2013/12/03
たにしぃ
20
面白かった。トイチの男に出ていた謎の二人の過去編。銀示の独特の美的感覚の表現が良かった!あと世間ずれしていない理由がしっかり描かれているので単なる不思議ちゃんではないあたりが。しかしトイチの銀示はかなりのふわふわキャラだったので、変人ぶりが進化してしまった気がしないでもない。2013/11/30
tera。
18
『トイチの男』スピンオフ。悠を優しく見守る硅太郎と銀示とのお話。自分の才能の限界を認めるのは辛い事だったろうけど、それを自分自身で見極められた硅太郎は幸せだったと思う。先代の瑠璃やの主が少ない登場だったけど本当に人格者だったし、だからこそ悠をあそこまで大切に思っているのだろう。人の幸せはそれぞれで、常識や他人の尺度で計り知れないけれど、銀示は間違いなく硅太郎と出会えて幸せだったと思う。主が「大きな質」を「息子」って呼んでもいいって思っていたって、悠は知っているだろうか、知っていて欲しい。2014/05/26
瀧ながれ
17
BL(13年)。「目」はいいのだが、「悪くない」絵しか描けない攻が、才能の塊だけど(ワケアリの半生のため)日常生活がこなせない受と出会い、人生を共にする決意をかためるハナシ。『トイチの男』のスピンオフらしいのでそっちも読まなきゃ、と思うくらいおもしろかった♪攻に同調して、受がかわいくてかわいくて(あんなにウザイのに(笑))。2014/07/10
リリー
9
玄上八絹「虹の球根」読了。「トイチの男」で美術商の共同経営者として出てきた2人が主人公。受が想像よりだいぶエキセントリックで驚きましたが、世慣れない天才である彼を自然に受け止め、学生なりに護ろうとする攻はかなり男前です。スピンオフ作品だけど、本編より好き!文章も本編より随分読みやすかった。ざっくり言えば不思議ちゃん受ですが、心底から個性的な感性をもっているだけだし、周りから何を言われても卑屈にならず、自分の育ってきた環境は良いものだった、と大切なところに関しては意思を強く持っている受も魅力的でした。2014/11/26