内容説明
保久原悠は「請け出す気のない品は預からない」がポリシーの生粋の質屋。ある日、店先で行き倒れていた男を介抱するが、一文無しだったために世話をした分働かせることに。身元不明のその男、茅野涼平の持ち物で唯一質草になりそうな銀のロケットの中に詰まっていた極彩色の“物体”が気になる悠だが、飄々としながらも包容力のある茅野に惹かれ!?―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふみ
23
茅野涼平(行き倒れ・26歳)×保久原悠(質屋店主・24歳)♪玄上さんはファンタジーが多いので、数冊程度読了の作家様^^;店先で、行き倒れ茅野を拾う悠…一風変わった質屋という商売に、これまた茅野もかなりワケアリでしたが、二人が惹かれていく過程はよくある王道モノ?何でもお金に換算する悠、働く気力を無くした茅野…二人の生い立ちも過去も、上手くこの質屋の仕事に関連し絡め、おまけに三毛猫トイチもビックリな秘密があったりと楽しかった!後半はテンポが速かったけれど、いろんなお宝話しが後から後から出てきて流石に質屋^m^2012/08/20
たにしぃ
19
勤務先の先輩が、「私が死んだら棺おけに玄上八絹さんの本を入れてくれ」とことあるごとに言うので気になって買ってみた。すごくお話の展開がおもしろかった!!二箇所くらい「ええ?!」ってなるポイントがあるんだけどかなり意表を突くかんじでしかも無理がなかったし、泣けた。ほかのも読んでみよう。2012/09/04
藻塩
17
【十日で一割恋が募る―――】初作家さん初読!質屋と行き倒れの絨毯織の話。どちらも初めて見る職業でした。すっごい面白かった!質屋など個人的に縁もゆかりもない職業だったのですがすんなり理解できたし、悠の頑ななまでの質屋としてのれんに誇りを持つ態度の理由が最後のオチでより際立ってたし、トイチの謎も良かった。何でもお金に換算するのも面白かった。サイドの話がぜひ読みたいですね!玄上さんはどうやらすごく読みにくい人みたいですが、ほかの話も読んでみなくては。 2012/10/15
ミル婆
16
これまたマニアックな組み合わせで面白かった。謎の行き倒れ男と秘密を抱えた質屋。謎解きも興味深かったが、玄上さんらしいテーマが見えた気がする。人権や感情を無視され物のように扱われたトラウマ持ちの受けが恋をし、手を差し伸べられその手をとるまでの葛藤。攻めがいつになくぼんやりしていたが、あの気が遠くなるような緻密な作業は何かに取り憑かれていないとできないかも。昔、工房を巡った時に驚愕したのを思い出した。2012/09/06
こげぱん
16
最初はなんでも金額に換算しようとする悠や、働く意味がわからないと言い出す行き倒れの無気力でダメ男臭プンプンの茅野に若干不安を感じたんですけど、全然そんな心配いらなかったです。悠がね、もうね、ほんとにね…つらい過去があったんだなぁって(;▽;)序盤に彼がなぜあれほどにまでお金や物の価値そして質草にこだわっていたのかがようやく理解できたときはほんと胸が痛かったです…茅野と幸せになってくださいね。悠の後ろ盾の銀示と硅太郎の二人の話も読みたいですねv2012/08/23




