内容説明
企業で遺伝子の研究をしている葛井築は、人づき合いの一切をひたすら面倒だと思ってきた。そんな築が通勤電車で、灰谷新と出会う。痴漢に遭っていた高校生を颯爽と庇う新を理解できないと断じた築だが、実は近所住まいだった彼から人なつこく構われ続ける羽目に。新に会ってからというもの、築は己の情動と行動をうまく制御できなくなって…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
111
初読。遺伝子によって人間性はどこまで決まるのか、障がいをもって生まれたことは何かの意味があるのか等、重いテーマを扱っているのに読後感がよい。蚕について検索してしまった。2011/11/19
扉のこちら側
57
再読。2015年1035冊め。2年ぶりの再読。この築とか、りんごの志緒とかis in youの一束とか、かたくななほど自分があって、でも人のために我慢して譲ろうとする気持ちを無器用に表す子たち、好き。2015/09/06
みずほ
48
小説★★★★☆ 挿絵★★★★☆ 「街の灯ひとつ」のスピン。義肢職人×遺伝子研究者。道を隔てたアパートの向かい同士。象徴的に使われる”窓”、蚕の生き様、遺伝子の神秘・・・モチーフがどれも効果的に使われていて上手いと思う。一穂さんの言葉の選び方や比喩は職人芸の域だね。文章だけで楽しめる貴重な作家さん。裏表がなく、論理的で、わかりやすい築の性格、好きだな。種としては幸福でなくても、個としての幸福はある・・・という言葉が印象的。BLの幸福感そのものだから。事件はなく二人が一緒にいる場面がほとんど。その会話が楽しい2013/04/05
マッコリ
46
「街の灯ひとつ」スピンオフ。同時進行で初鹿野の同僚•築にも色々あったのねえ。前作カップルが愛を抑えきれないベタぼれ攻だったので、他の人に想いを寄せてたり恋心の自覚がゆっくりだったりちゃんとくっつくの!?とドキドキしながら読み進めました(笑)新はまっすぐな人だけど恋心的なところはわかりにくかったので短編があって良かった。運命的にピッタリ!というわけではなく様々な選択を繰り返して恋人に至った2人。おさまるところにおさまって良かった!これからが楽しみなカップルだなあ。築の家族は快く受け入れてくれそう【D】2014/11/29
天使を愛するアカウント
41
義肢製作者・新×遺伝子研究者・築。『街の灯りひとつ』のスピンオフ。築と初鹿野は恋愛同時進行だったのねw少し前に出た『シュガーギルド』でも一穂さんの引出しの多さにびっくりしたのにココでも蚕と義肢製作、DNAというテーマをしっかり描いた上でメインの2人を近づけていくのがホントに上手かった。何事もはっきりきっぱりな築と自分の部屋の窓のように開けっぴろげな新、それぞれが違った世界観を持っているのにあわさった時のなんて幸せそうなこと。明日まで付き合おうとか、テーブルの件がとても印象的。HPのSSも幸せそうで何より↑2011/11/21