出版社内容情報
地域医療の面白さ、魅力とは――。
魚沼で125年の歴史を持つ診療所。
その4代目の町医者が歩んできた道のりの中に
地域医療の未来を切り拓くヒントがある。
新潟県魚沼市。人口10万人あたりの医師数は全国平均の半分以下で、まさに“地方の医療課題を色濃く抱える地域”です。その魚沼の地域のかかりつけ医=町医者として、30年以上にわたって住民の健康をみまもってきたのが、この地で125年の歴史を持つ医院の院長です。彼は、この「みまもり」のために、さまざまな活動を行ってきました。
例えば、糖尿病を予防するためのプロジェクト、県内初の肥満外来の立ち上げ、地域住民を対象にした健康講座の開催。さらには、スキー場やスポーツクラブの運営……。その幅広さは、もはや「町医者」どころか、「医師」の仕事の範疇をも超えています。彼の活動は、必然的に魚沼の「地域医療の発展」につながっていきました。
本書ではこの町医者の息子の視点から、魚沼における地域医療の30年の歴史がつづられています。著者は医療の道には進みませんでしたが、幼い頃から地域住民のために働く父=町医者の活動をずっと見つめてきました。そんな彼が父の取り組みをまとめた本書は、魚沼以外の地域においても、地域医療の改善や未来を切り拓くヒントがつまった一冊です。
【目次】
はじめに
第1章 背中を見て感じた、父の地域医療への想い
町医者の家に生まれて
地域の中に生きる町医者としての父
町医者として生きる
医師法第一条
あらためて町医者の歩みを見つめるということ
第2章 みまもる――すべての住民の健康を支える
町医者の役割は「みまもる」ことから
世代を超えて、家族をまるごと診る
町医者だからこそ被災地へ
「生ききる」ことをみまもる
人々が暮らす「地域」全体をみまもる
みまもるために学び続ける
町医者は“生き方”
第3章 予防する――いまだ病まざる病を医す
「予防医療」に取り組んできた歴史
フレイル予防と「若返りトレーニング教室」
学校給食を町医者と考える
地域全体で重症化予防を――プロジェクト8
「地域医療だからこそ」の対策
第4章 仕組みをつくる――住民、医療、介護がつながりあう地域医療
地域医療再編――住民本位の医療をつくるために
患者の診療情報や介護情報を共有する「米ねっと」
介護保険制度の始まりと町医者の奔走
地域包括ケアと「看取り隊」
スポーツクラブとスキー場運営
第5章 育てる――医療介護従事者や住民が地域医療を学べる環境を整える
地域医療魚沼学校
医師を育てる――地域医療研修の始まり
地域の中にいる、医師以外の「先生」たち
スタッフもともに学び、質の高い医療を
第6章 魚沼だからできたこと、そして地域医療の未来へ向けて
信頼の風土と125年の歴史
泳ぎ続ける魚のように
顔の見える仲間とともに
医院を支えてきた医師仲間の存在
地域医療の未来へ向けて
荒井保明先生インタビュー
町医者としての30年を振り返って
あとがき



