内容説明
閑静な住宅街でひっそりとたたずむ歯科医院を経営する主人公の三鶴草介。草介は歯科医師でありながら、頭痛や腰痛、アトピーなどのあらゆる症状に悩む患者やその家族を独自の治療法によって救ってきた。医療業界では異端な存在であったが、そんな草介の噂を聞きつけ、来院したのは不登校になってしまった息子の母親だった。草介の治療法と言葉によって、その少年や家族の運命がどのように変わっていくのか―。不登校児童の激増と凋落する日本に警鐘を鳴らす一冊。
著者等紹介
丸橋賢［マルハシケン］
１９４４年、群馬県生まれ。東北大学歯学部卒業。同学部助手を経て、１９７４年、丸橋歯科クリニック開業。１９８１年、「良い歯の会」活動開始。２００４年、群馬県高崎市に「丸橋全人歯科」を開設。現在、丸橋全人歯科理事長。アメリカ歯内療法学会、日本歯内療法学会を中心に、日本全身咬合学会、日本口腔インプラント学会等で活動したが、現在は退会し、全人歯科医学に全力を投入している。８０歳を機に小説の執筆に全力投入している。『はじまりの谷』（エイアンドエフ）を２０２４年７月刊行（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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ででんでん
57
食いしばりがひどいと歯科で言われ、夜はマウスピースをつけなくてはいけない身の上なので、未知の作者さんだが何となく手が伸びた本。歯科医の著者が80歳を過ぎてから小説の執筆を始められたとの著者紹介の文面が驚きだった。噛み合わせというものは、いろんなところに影響するのだろうなという思いはある。この作品のように起きられなかった子どもが劇的に健康を取り戻す…かどうかはわからないけれど。日本でのみ不登校が増えている、そしてその理由とは…についての作中の歯科医の考察は、すべてではないとしても一面の真実かもしれない。2025/04/20
本詠み人
28
80歳を機に現役歯科医師が執筆した2作目の小説。私自身、会社の健康診断で歯の食いしばりを指摘され、マウスピースを使っているので手にとった。タイトル『溶けるひと』とは起立性調節障害で不登校または引きこもりになっている人を指すようだ。主人公の営む歯科医院に、不登校の息子に悩む母親が相談に来るところから物語が始まる。なぜ歯科に？と思いながら、生きるか死ぬかまで追い詰められたその母親と共に、医師の言葉を聞く形で読み進める。これはノンフィクション？主人公は作者本人がモデル？分からないからこの人の本をもっと読んでみる2025/05/18
marumo
18
タイトル「溶けるひと」とは、起立性調節障害に起因する不登校児童のこと。噛み合せが原因で激しく姿勢が湾曲し、自律神経が乱れウツ症状を起こし、登校どころか満足に立っていることもできない様子。噛み合わせを正し、食生活と運動を改善することで劇的に回復する子どもがいる一方、心療内科などの治療ガイドラインを逸脱する主人公・三鶴医師の方法論は攻撃の的にもなっています。作中何度もエビデンスがないと言っていてるけれど、困っているなら試してもいいんじゃないかと思ったのでした。姿勢とか運動、そして食事が大切なのは確かだし。2025/04/12
柊子
10
「身体の不調は噛み合わせから」という説は、以前別の歯科医からも聞いたことがある。でも、私のリハビリの主治医は「身体の不調の大半は腰椎から」と言っている。どちらも正論なのだろう。不登校児が前向きになれる医療であれば、どの分野であっても、どんどん進歩してほしいと思う。「全人歯科医療」に関しては、賛否両論あるようだが。2024/12/27
つく
4
歯と自律神経が繋がっていると。噛み合わせは大切なんだろうな。2025/03/29
