出版社内容情報
はるか、ブレーメン
内容説明
小川遙香、16歳。3歳で母に捨てられた彼女は祖母も亡くし、天涯孤独だ。走馬灯をつくるために人生の思い出をめぐる旅行会社〈ブレーメン・ツアーズ〉と出会い、幼なじみとともに手伝うことに。そんな折、自分を捨てた母から「会いたい」と連絡が来て―。「記憶」とは、「大切な思い出」の持つ意味とは何か。家族の繋がりを描く、感動長編。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て執筆活動に入る。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年「ナイフ」で坪田譲治文学賞、「エイジ」で山本周五郎賞、2001年「ビタミンF」で直木賞、10年「十字架」で吉川英治文学賞、14年「ゼツメツ少年」で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タルシル📖ヨムノスキー
24
走馬灯をつくるために人生の思い出をめぐる旅を企画する旅行会社・ブレーメン・ツアーズと、3歳で母親に捨てられた遙香、そして同級生のナンユウくんの物語。ブレーメンツアーズの社員には人の思い出を見る力があって、それを使って人生の最後に見る走馬灯を簡単にいうと〝編集〟するという。遙香とナンユウは偶然その社員とツアー客に出会うことで、自分たちも能力を開花させます。その能力をバンバン使って様々な問題を解決!…とはならないのが重松文学。遙香とナンユウは一つの家族とじっくり関わることで、自分の問題とも向き合っていきます。2025/06/04
kanaもん
7
悔いのない人生は無い。悔いを残さないようにすることは大事だし、少しぐらい残っても良いと思える寛容さも大事。遥香とふう、ナンユウと両親、家族のつながりは、思いを伝えることによって確かになる。走馬灯に残る大切なものは何だろう。振り返って考える気持ちになる小説。2025/06/09
ひびき
3
重松清著作は、堪えきれずに泣かされるので、通勤の電車やバスなどで読んではいけないとは、常々思っていたけど、今作も何度もやられた。第十二章からは、家で読んで、やっぱり通勤時に読まなくて良かったと思うくらい、号泣。読後は涙活の効能か、スッキリした。2025/06/15
シミセン
3
2025 No.14 星×7 人が死ぬ時に見るとされる走馬灯に重松さんはアイデアを得て、それに場面を加えたり減らしたりする職業、走馬灯の絵師のお話を展開させる。なかなか面白い視点である。この視点だけで○だが、いかんせんストーリーの舞台が東京と瀬戸内をビュンビュン飛び回ったり、男の子の主人公を女の子の主人公が時間差で2つの地点を行きちがえたり、とかバタバタ感は拭えない。話の広がりを協力重松さんは押さえようとしているように読める。題材は面白いのだが。 2025/05/17
アビ太郎
2
やはり重松清、終盤は自然と目頭が熱くなる。どことなく辻村美月の名作ツナグを思わせる内容だったが、感情が揺れたのはこっちの方だった。はるかの受け取り方や考え方は等身大で飾り気がなく、相方のナンユウくんのキャラもgood!話の展開は読めるが、情景が自然と頭に思い浮かぶ描写や「それでいいんだよ」という掛け合いは流石、気付くと目が潤んでしまう。「もう感動作はこれでいいのよ」と思わせるエピローグの美しさ。日常にささやかな感動は重松清にお任せ。2025/06/20