出版社内容情報
東日本大震災からの復興ビジネスは金になる。会社の経営に失敗して家庭も破綻した著者は、再起を目指して仙台へ。だが、待ち受けていたのは過酷で醜悪な日々だった。仕事仲間からの陰湿な苛め、危険極まりない除染作業、守られない労働契約に金銭搾取……。「下級国民」に落ちて男が気づいた、日本の真の姿とは? すべてが実話。衝撃のエッセイ。
内容説明
東日本大震災からの復興ビジネスは金になる。会社の経営に失敗して家庭も破綻した著者は、再起を目指して仙台へ。だが、待ち受けていたのは過酷で醜悪な日々だった。仕事仲間からの陰湿な苛め、危険極まりない除染作業、守られない労働契約に金銭搾取…。「下級国民」に落ちて男が気づいた、日本の真の姿とは?すべてが実話。衝撃のエッセイ。
目次
石巻市/土木作業
Aに至る経緯
仙台市/土木作業員宿舎
福島へ
郡山市/住宅除染
南相馬市/水田除染
それから
著者等紹介
赤松利市[アカマツリイチ]
1956年香川県生まれ。2018年「藻屑蟹」で第一回大藪春彦新人賞を受賞しデビュー。20年『犬』で第二十二回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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茜
46
私は著者の赤松利市氏とはSNSを通して交流している仲だ。そんな氏の初のエッセイが文庫化となったので早速読んでみた。かつては全国の12カ所ゴルフ場の管理をする会社を立ち上げ年収2400万円もあった男がそれを破綻させてしまい土木作業員へと変わってしまうのだ。土木作業員から除染作業員、そして最後は本書には掲載されていないがホームレスへと身を落とす。まさに坂道を転げるようにとはこのことだ。赤松利市は他人におべんちゃらを使ったり、融通が利かない性質の男なのだ。如何に人間とは金に振り回されやすいのかが分かると思う。2024/10/14
lily
12
年収数千万のゴルフ場経営者から東日本大震災の復興事業に関わったのち、「住居不定無職小説家」に転落するまでの半生を洗いざらい綴っていく。とくに除染作業に従事するときの同僚の無学さ(興味の対象はパチンコと風俗とスマホゲームだけ)に辟易する場面は、非正規雇用者の苦悩に満ちていてめちゃくちゃリアル。ただここで辛酸舐めてきた経験が、のちに切れ味抜群の小説を生み出すのだから、無駄な経験などないのだろう…と思う。エッセイも含め、赤松利市にハズレなし。2024/10/18
サラマンダー
4
なるべく近づきたくない世界ですね……。これ見てると他人とは分かり合えないなぁと思うね。(経済的教育的格差があるならとくに)2025/03/08
カノープス
4
著者初のエッセイ…という触れ込みだが、ここにエッセイの手応えは無い。どこからどう読んでも私小説の範疇である。少なくとも私の思う随筆とは違う。赤松の、特に初期作品の背景に流れる底辺を生きる者たちの描写が、どのような体験のもとに描かれたのか。それを知る手立てとしての価値はありそうだ。本書を読んだ後に、またデビューからの何作かを読み返せば【答え合わせ】ができるのだろう。2024/11/10
メグ
2
東日本大震災後の復興バブルのため、東北入り、そこで除染作業に関わって劣悪な環境や、過酷な仕事を経験してきた作者の実話のようでした。あまりないタイプのお話でしたので、興味深く読みました。いつまでも逃げ出さずに懸命に仕事する作者にいつまでも降りかかってくる難題。すごい世界だった。2025/05/18