出版社内容情報
怪談は作りものだと笑う者、他人の不安や怖気に付け込む者、いじめを隠す子供……。こんなヤツらに“一瞬の戦慄?なんて生ぬるい! 「怖ガラセ屋サン」はナメたやつらが大好物。狙ったら最後、あの手この手で恐怖どん底へ――。怖がらなかったことを後悔しても、後の祭り。先の見えない恐怖に「まさか」の連続! 背筋の凍る連作短編集。
内容説明
怪談は作りものだと笑う者、他人の不安や怖気に付け込む者、いじめを隠す子供…。こんなヤツらに“一瞬の戦慄”なんて生ぬるい!「怖ガラセ屋サン」はナメたやつらが大好物。狙ったら最後、あの手この手で恐怖のどん底へ―。怖がらなかったことを後悔しても、後の祭り。先の見えない恐怖に「まさか」の連続!背筋の凍る連作短編集。
著者等紹介
澤村伊智[サワムライチ]
1979年、大阪府生まれ。2015年に『ぼぎわんが、来る』(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回ホラー小説大賞を受賞しデビュー。19年に「学校は死の匂い」で第72回日本推理作家協会賞“短編部門”、20年に『ファミリーランド』で第19回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
83
「ココって怖ガラセ屋さんが出るって聞いたけど本当ですか?」謎の女性に頼むと標的を恐怖のどん底に突き落としてくれる。まるで都市伝説のような彼女は確かに存在していて依頼人の希望により登場人物達を完膚なきまでに怖がらせその人生を破壊する。子供同士のいじめからの絶望的な結末「子供の世界で」怪談ライブが5人目の語り手により一変する「怪談ライブにて」病院で隣のベットの老人に毎日お見舞いに来る女性は誰なのか?「見知らぬ人の」など驚きの謎が隠されたミステリ要素と得体の知れない恐怖がうまく融合した世界観が独特な連作短編集。2024/09/08
かぷち
74
ここのところモチベが上がらず、けれど本を読みたいという欲は消えず、困ったときの澤村伊智。それまで10ページ読むのもひぃひぃ言ってたのにあっという間に読了。澤村さんはホラー作品以外は読んだことが無かったが、本作は所謂勧善懲悪物。世に蔓延る悪を「怖がらせる」事で一刀両断する謎の女が主人公、やってる事はハッキリ言って外道だけど妙に胸がスカッとした。見放される恐怖、虐げられる恐怖、この世に独りぼっちになる恐怖。恐怖って日常生活に多大な影響を及ぼすし、救いを求めて変な方向に向かいがちになるから悪用されやすいよね。2025/03/22
眠る山猫屋
70
これは・・・想像以上に怖い小説だった。誰にだって怖いものはあるだろうし、それに対しての心構えもある程度は持っているはず。しかし思い描いていた以上の“怖いもの”が想定外の方向から襲いかかってくる、そんなエピソードが積み重なってくる、それがこの物語だ。憎い相手に恐怖を与えてくれる、そんな都市伝説「怖ガラセ屋サン」が、ごく普通の姿で日常に侵食してくるおぞましさ。そしてリターンしてくる怪異。2024/11/15
HANA
70
傑作。これまで読んだ著者の本の中で一番好き。語り手の前に現れる「怖ガラセ屋サン」を描いた連作なのだが、どれも出会う相手に自業があり出会う事により自得が訪れるので、読んでいるこちらのカタルシスの解消は凄いものがある。「子供の世界で」と「怪談ライブにて」が一番かな、そういう意味だと。『笑ゥせぇるすまん』を何となく思い出す。当初人間感があった怖ガラセ屋サンが神話じみた都市伝説じみた存在に昇華していくのも『座敷女』じみた怖さが感じられた。恐怖ありブラックユーモアありの作品なので、是非読んでもらいたい一冊でした。2024/09/14
アッシュ姉
69
ホラーとしてもミステリーとしても両方楽しめる短編集。誰かを怖がらせて欲しいという依頼を引き受け、確実に実行してくれる怖ガラセ屋サン。狙われたら最後だが、読友さんのレビューのとおりターゲットにも非があるので理不尽というよりは因果応報な印象。「見知らぬ人の」「子供の世界で」がお気に入り。何が一番怖かったって、やっぱり澤村さんだわ(小説じゃなくてご本人)。2024/10/20