出版社内容情報
派遣切りに遭い、やむなく特養老人ホーム「まほろば園」で働く康介。体に染みつく便臭にはまだ慣れない。それに認知症の人や言葉が不明瞭な人相手の仕事は毎日なぞなぞを出されているかのようだ。けれど僅かなヒントからその謎が解けた時、康介は仕事が少し好きになり……。介護する人される人、それぞれの声なき声を掬すくうあたたかな連作短編集。
内容説明
派遣切りに遭い、やむなく特養老人ホーム「まほろば園」で働く康介。体に染みつく便臭にはまだ慣れない。それに認知症の人や言葉が不明瞭な人相手の仕事は毎日なぞなぞを出されているかのようだ。けれど僅かなヒントからその謎が解けた時、康介は仕事が少し好きになり…。介護する人される人、それぞれの声なき声を掬うあたたかな連作短編集。
著者等紹介
丸山正樹[マルヤママサキ]
1961年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、シナリオライターとして活動。頸椎損傷による重い障害のある妻と暮らす。2011年、『デフ・ヴォイス』で小説家デビュー。『ワンダフル・ライフ』で「読書メーター OF THE YEAR 2021」総合第一位を獲得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツバサ
17
介護の仕事をコミカルに、しかし現実的に捉えて物語にしている。読みやすく面白い。仕事をどういう意識で行うかで見える景色は変わる。主人公が金を稼ぐ手段として捉えていた介護の仕事だが、続けていくうちに立派に介護士になっていく姿は良かった。どんな仕事でもそうだけど、やらされているうちは駄目なんだよね。2024/07/23
なんてひだ
6
いやあいっぱい詰まってた。康介の介護士の仕事の成長(人としても)が読んでいてわかりやすくて、風俗で発散して自分の心のバランスをとるとか、でも同窓会で言われた重労働がバランス取れるのかって今でも思うけど、お菓子にカップ麺を食べるとか。ラスト依田さんの事件も、園の本音と建前とあるのが切ない、自民党のダメな政策のせいで、安い賃金で働く外国人も、6人に2人しかいない正社員も、あーなんでこんな国になっちゃうの?しか思えない。オムツ換えにお風呂に陰部を洗うにお尻の穴に指入れてクソを掻き出すとか自分の親に出来るのかと考2024/10/15
かずぺん
5
介護の物語なのに、暗い気持ちにならないのが良いですね。楽しく読みました。2024/09/20
ori
3
特養老人ホームの新米ヘルパー康介が色んな問題にぶつかり成長していく物語。 まだ先と思っていた介護がより身近になってきて自分だったら…と置き換えながら読了。最終話のラストは何度読んでも切ないですね。2024/08/21
Carol
3
「仕方なく」介護施設で働き始めた主人公の戸惑いと葛藤と楽しさと苦しみとやりがいと…。介護職経験者なら一度は感じたことがある色々を全部詰め込んだような小説。するすると読めてしまうのに、色々と考えさせられるお話でした。「仕事が終わればお前らは家に帰れる。だけど俺たちは帰れないんだ。一生中で生きていくんだ。」という利用者さんの言葉が一番印象に残った。そう、私たち介護職は仕事の後に好きなところに行って好きなように過ごせるけど、利用者さんにはそれができず、ずっと施設の中。常に心に留めておきたい。2024/08/10