出版社内容情報
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内容説明
明治末期、木下杢太郎や北原白秋、石川啄木ら若き芸術家が集ったサロン「パンの会」。彼らは会合のたび、趣向を凝らした料理を味わいながら、推理合戦を繰り広げていた。生まれたての赤ん坊が目玉と臀部をくり貫かれ殺された事件(「さる華族の屋敷にて」)。陸軍士官学校の校長はなぜ自決したのか―(「未来からの鳥」)など六篇。傑作ミステリ。
著者等紹介
宮内悠介[ミヤウチユウスケ]
1979年、東京都生まれ。92年までニューヨークに在住。早稲田大学第一文学部卒業。2010年、「盤上の夜」で第一回創元SF短編賞選考委員特別賞(山田正紀賞)を受賞しデビュー。『盤上の夜』(第三十三回日本SF大賞受賞)『ヨハネスブルグの天使たち』(第三十四回日本SF大賞特別賞受賞)、『カブールの園』(第三十回三島由紀夫賞受賞)『遠い他国でひょんと死ぬるや』(第七十回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
107
宮内さんの「盤上の夜」を読み直したら新刊でこのような本が出たので手に取りました。「パンの会」という会合で明治時代の作家や画家たちが食事をしながら不思議な話などについて解決案を見つけようとします。いつもその食事処で給仕をする女性が解決案を示してくれます。アシモフの「黒後家蜘蛛」シリーズを見習った感じでした。続きが出るのでしょうか?2023/11/16
蒐
13
寡聞にして主役の木下杢太郎という人物を私は知らなかったのだけど、北原白秋や石川啄木も集った芸術家サロン「パンの会」の会合で、菊人形や浅草十二階といった明治ならではの題材が絡んだ謎解きが行われるというシチュエーションだけですごくそそられる。しかも料理屋の女中が立ち聞きして安楽椅子探偵を務めるというのも面白い。ただ、ちょっとピンとこなかった推理もあったりして、どちらかというと時代背景や雰囲気、そして杢太郎の揺らぐ心情に重きを置いた趣向だったのかな、という気もする。若き芸術家たちの関係性ややりとりが楽しかった。2024/05/20
ロア
13
明治時代の歌人や芸術家たちが仲良く集って食べて飲んで、謎解きに挑戦!最終的に謎を解く人の正体は…(´艸`*)「人間は抒情を記憶する」ぽつりと言って、白秋が片膝のまま手酌した。無頼な感じで描かれてる白秋がいい味出してます(*´ω`*)2023/12/05
ニャーテン
7
時は明治末期。国語便覧でお目にかかる木下杢太郎や北原白秋ら芸術家たちが集う「パンの会」が、浅草十二階からの転落事件や華族のお屋敷の猟奇殺人事件等の謎に挑む。思っていたミステリーの形態と違って最後まで読みきれるか不安だったが、各章の最後であっさり横から推理合戦の解決をかっさらっていく女給あやのの正体が気になって気づけば最終章。あやの、やっぱり只者じゃなかった!この時代の情勢や思想に疎いから、事件の真相と動機はわかりづらいところもあり…。でも当時の息吹をリアルに感じる刺激的なタイムトリップ体験になった。2024/03/09
のりえ
4
❌明治時代もの・ファンタジー・SF・安楽椅子探偵、苦手分野の大集結(泣)2024/02/10