出版社内容情報
東京の救命救急センターで働いていた、六十二歳の医師・咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。命を送る現場は戸惑う事ばかりだが、老老介護、四肢麻痺のIT社長、小児癌の少女……様々な涙や喜びを通して在宅医療を学んでいく。一方、家庭では、脳卒中後疼痛に苦しむ父親から積極的安楽死を強く望まれ……。
内容説明
東京の救命救急センターで働いていた、六十二歳の医師・咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。命を送る現場は戸惑う事ばかりだが、老老介護、四肢麻痺のIT社長、小児癌の少女…様々な涙や喜びを通して在宅医療を学んでいく。一方、家庭では、脳卒中後疼痛に苦しむ父親から積極的安楽死を強く望まれ…。
著者等紹介
南杏子[ミナミキョウコ]
1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入し、卒業後、都内の大学病院老年内科などで勤務する。2016年『サイレント・ブレス』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
237
東京の大学病院で救急救命に長年携わってきた女性医師が、故郷で『在宅医療』に携わっていく様を見るこの作品。そこには、一人の医師としてリアルな医療の現場を見続ける南さんだからこそ描ける説得力のある『在宅医療』の最前線を見ることができました。医療の専門用語の数々が南さんならではの説得力で読書の障壁にならないこの作品。『在宅医療』の最後に何が待つのかを噛み締めることになるこの作品。「いのちの停車場」という絶妙な書名に南さんの深い思いを感じるこの作品。他人事でない、いのちの貴さを改めて認識されられもした絶品でした。2023/09/02
じいじ
144
まもなく迎える80歳を前にして、いま元気でいられることへの感謝の気持ちと、残された人生への大きな勇気をもらいました。「ガンの子になっちゃってごめんね」と死の3日前、両親へ侘びる6歳の少女のひと言は、あまりにも辛すぎます。誰にでも、一生に一度は必ず訪れる〈死〉について、やみくもな恐怖心を取り去って、前向きに生きることへの大切さを考えさせてくれた、素敵な本でした。2021/05/22
タイ子
124
東京の救急救命センターに務めていた女医・白石咲和子。ある事で故郷金沢に帰郷。そこでの新しい勤務先は在宅医療の訪問診療医。これまで患者の命を救うことのみ専心してきた彼女が、今度は患者の命を見守る仕事にとまどい、葛藤を覚えながら在宅医療を頼る患者に手を差し伸べていく。そして、咲和子の父親が骨折をはずみに入院中に様々な痛みを訴えはじめる。これまで咲和子が病院で当たり前のように家族に告げていた言葉が自分に告げられた時、初めてその思いを知る。在宅医療、父親の最後の願い、胸迫る中、逝く人は幸せなんだと思いたい。2021/05/18
Willie the Wildcat
107
患者、家族、医師、看護師などの思いと、法の精神。万人に受け入れ可能な解は、必ずしも見いだせない。在宅医療を通して問いかけるヒトと制度の疲弊。老老介護、未承認治療・薬、社会保障制度、積極的安楽死、終末期医療。『人魚の願い』は子供立場から、『プラレールの日々』は親の立場からの視点だが、どちらの章も、分かっていてもどうにもグッとくる気持ちが止まらない。健気さと不器用さの対照性も印象的。但し、『父の決心』のメッセージ性は突出。”加害者”?!ヒトも制度も救いを求めている気がする。2021/08/28
ジュール リブレ
105
映画は見てませんが吉永小百合さんを思い浮かべながら読みました。救急医から地元・金沢に戻って在宅治療医。180度違う世界に戸惑いながらも医師としての責任と自覚を強く持ちながら日々に向き合っていく。医師だった父の衰え。医師としての見方と家族としての見方の差もまた実感として響いてくる。2021/08/10