内容説明
じつはディレクター長谷見のヤラセだったTV人気企画「明日なき暴走」内の若者たちの無軌道な行動。それを知らぬ若いネクラ美容師が若者たちと交錯し殺人鬼に変貌、凶行を重ねる。長谷見は視聴率アップを狙い暴走の末、職務停止に。だが彼は警察の裏をかき殺人鬼にコンタクト、なお映像に収めたい…。大どんでん返しに読者は戦慄し言葉を失う!
著者等紹介
歌野晶午[ウタノショウゴ]
1961年千葉県生まれ。東京農工大学卒。88年『長い家の殺人』でデビュー。2003年に刊行された『葉桜の季節に君を想うということ』が「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」の第1位に選ばれ、第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞を受賞しベストセラーに。10年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回の本格ミステリ大賞を再受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NADIA
62
いい人しか出てこない作品があれば、悪い人しか出てこない作品もある。そして、この物語はほぼ良い人は出てこない。テレビ局の下請けとして番組制作を作っているうちに「やらせ」を積極的に取り入れるようになった長谷見と彼の弟分である虎太郎がスクープを求めて、孤独からシリアルキラーとなってしまった美容師川島を追う。終盤のどんでん返しは強引だが予想外で面白い。それにしても、テレビ番組の編集で当事者が意図としない方面に無理やり持っていく手法、このように作られているかと思うと気分が悪くなる。良識のある報道を信じたい。 2021/05/17
ゆいきち
58
ネタバレしない程度に言うと、神編集とは…(笑)テレビって怖いな。ネットと違うところは、プロが集まっているというところと、視聴率という化け物に追われるところ。これ10年前の作品か!ネットの勢いは増しているけど、テレビのポジションはぎりぎり保っていますね。歌野さん作品だから、どんでん返し要素もあってたっぷり楽しめました。2020/12/31
coolgang1957
54
いやはや悪いやつばっかりでしたねっ🤨TVもネットも相変わらず信用できませんが、見極める目を持たないとあきまへんでっ🤨と言いつつ作者にはだまされてばっかりです😁この人(作者)には、誤魔化されへんぞと脳内では警鐘が鳴らされながら読んでますが、あんなに犯人が頭がきれたとは思っていませんでした。結局は思う壺にハマる、ある意味理想的な読者です。……まあねぇ〜(と、今回はぼる塾で締めます😂)2021/01/30
Junichi Yamaguchi
35
『王様の耳はロバの耳』… 個人的には「嘘つき」は好きじゃないが「ホラ吹き」は好き。 それに近い感覚で、「ヤラセ」もその行為で傷ついた人が居ないのなら「アリ」だと思う。 が、この作品は胸糞悪かった。 最後の歌野マジックは流石の一言だが、後味の悪さは後を引いた。。2021/01/01
かめりあうさぎ
33
ヤラセ上等で名をあげたテレビの制作会社で働く男がスクープに拘るあまり一線を超えてしまい無期限停職となる。そこからさらに暴走していき、連続殺人犯を自分で捕まえようと躍起になる。果たして彼は警察より早く、他のどのマスコミより早く犯人にたどり着くことができるのか。主人公がまずクズだし、彼の取り巻きもクズだらけで読むのが辛かったけど、最後のどんでん返しっぷりはさすがなんですよねぇ、本当に。まさに歌野マジック!2020/12/10