出版社内容情報
世界最古で最大の大英博物館。その膨大なコレクションを管理する修復士、ケント・スギモトのもとには、日々謎めいた美術品が持ち込まれる。すり替えられたパルテノン神殿の石板。なぜか動かない和時計。札束が詰めこまれたミイラの木棺。天才的な審美眼と修復技術を持つ主人公が実在の美術品にまつわる謎を解く、豊潤なるアート・ミステリー。
内容説明
世界最古で最大の大英博物館。その膨大なコレクションを管理する修復士、ケント・スギモトのもとには、日々謎めいた美術品が持ち込まれる。すり替えられたパルテノン神殿の石板。なぜか動かない和時計。札束が詰めこまれたミイラの木棺。天才的な審美眼と修復技術を持つ主人公が実在の美術品にまつわる謎を解く、豊潤なるアート・ミステリー。
著者等紹介
一色さゆり[イッシキサユリ]
1988年、京都府生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。15年に第14回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞、16年に受賞作『神の値段』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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シナモン
169
天才修復士スギモトと助手の晴香が挑むアートミステリー。大英博物館の膨大なコレクションと収集方法には驚いた。悲しかったけどこれが現実なんだな。機能だけではなく遊びの部分に力を入れる和時計、空のミイラの棺におさめられたお金の謎、北斎の「グレート.ウェーブ」の真贋…大英博物館の裏側、イギリスの空気感も感じられて楽しめました。続きも読んでます。面白いです。2021/03/22
nobby
147
うーん、個人的に大英博物館という舞台への期待が強かっただけに、思いのほか周囲の事象や人物の謎解きでの帰結がちょっと薄く感じられて残念…石版に和時計にミイラに北斎浮世絵と多岐にわたる題材はスゴく魅力的!そこに天才修復士登場となれば、もっと美術品そのものを掘り下げて欲しかった… 暗号やメッセージ受けての探索は好みだが、一方的な解明やブツ切りで唐突な解決で一時停止するのがスッキリしない…「文化が衰退すると、世界はどうなると思いますか。 」ずっとアートに面白さ追い続ける作者だからこそ説得力ある言葉が勿体ないかな…2020/12/23
佐藤(Sato19601027)
130
考古学の謎に挑む上質なミステリで知識欲が刺激されっぱなし。大英博物館に勤める日系の修復士ケント・スギモトが、助手の糸川晴香とともに、博物館に貯蔵されている美術品に秘められた謎を解明する。シャーロックホームズとワトスン博士の関係のように助手の晴香がケントの活躍を記録する形で物語が進行する。登場する謎は「破壊されたパルテノン・マーブル/動かない和時計/ミイラの木棺に隠された古紙幣/葛飾北斎のグレート・ウェーブに使用されたプルシアン・ブルー」をモチーフとする四つの短編。読者の好奇心を刺激せずにはいられない。2024/08/14
よむよむ
95
著者初読み。世界最古で最大の大英博物館を舞台に、天才的な審美眼と修復技術を持つ修復士スギモトが美術品に纏わる謎を解いていく。ライトな本書だが、スギモトの元に舞い込む謎はパルテノン神殿の石板や和時計、ミイラの木棺、北斎の浮世絵と実在する美術品に関するもので、PCで見ながら読み進めワクワクした。更に大英博物館の裏話や膨大なコレクションの管理、専門の修復士たちの作業と、話の本筋とは別に興味深い話も多く面白かった。続編もありそうな終わり方だったので次も楽しみだ。2020/08/16
アルピニア
61
大英博物館のコンサバター(修復士)ケント・スギモトと日本人の助手晴香が美術品の謎を解くアートミステリ。取り上げられているのは、何かと物議をかもすパルテノン・マーブル、和時計、フリーメイソン絡みのお宝、そして南方熊楠ゆかりの北斎画。修復や大英博物館にまつわる蘊蓄、そしてスギモトの言葉として語られる美、文化に対する考えも興味深い。個人的に大英博物館に思い入れがあるので、わくわくニヤニヤしながら読んだが、なんと最後に主人公が大英博物館を辞めてしまった・・残念。シリーズの続きを読むかは微妙なところ。2022/07/07