内容説明
社員の7割が知的障がい者のチョーク製造会社・日本理化学工業。60年もの間、障がい者雇用を続けながら、業界トップシェアを確立する。世界でも例のない企業として、“日本でいちばん大切にしたい会社”と注目を浴びるが、その一方では、社員の家族、経営者や同僚たちの苦悩と葛藤があった。「働く幸せ」「生きる喜び」に満ち溢れたノンフィクション。
目次
第1章 日本でいちばん大切にしたい会社と呼ばれて(思いがけぬ脚光と変わらない日常;チョーク製造ラインで働く知的障がい者たち ほか)
第2章 障がい者を持つ家族の思い(仕事を持って生きる 本田真士さんと母の物語;仕事を通して芽生えた責任と使命 ほか)
第3章 働く幸せの実現に向けて―会社が乗り越えてきた苦難(4代にわたる日本理化学工業の歴史;4代目社長・大山隆久の挑戦 ほか)
第4章 チョーク屋に生まれて―経営者としての天命(相模原殺傷事件の衝撃;二人の少女との出会い ほか)
第5章 障がい者とその家族が生きる道(障がい者雇用第一期生の林緋紗子さん;林家の物語 ほか)
著者等紹介
小松成美[コマツナルミ]
1962年横浜市生まれ。広告代理店勤務などを経て89年より執筆を開始。主題は多岐にわたり、人物ルポルタージュ、ノンフィクション、インタビューなどの作品を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あっ!chan
21
障害者に限らず人は一人で生きられない。だからこそ生きていくには「愛されること、褒められること、役に立つこと、必要にされること」が大切という。そして働くことで愛以外の3つは得られるという...障害者を意識的に区別したり過度に同情せず、同じ仲間として歩んできた障害者が働く世界がここにはある。障害者を抱えた家族の話の中にも、障害者自身からもらったたくさんの幸せが語られている。事実だからこそ胸を打つエピソードに何度か目頭が熱くなり、ページをくる手が止まった。こんな小さな試みがもっともっと広がることを願うばかり… 2023/11/01
紫陽花と雨
20
日本理化学工業、ダストレスチョークを作る会社。以前テレビで障害者雇用をされているところを見ていたが、7割の方が雇用されているとは知らなかった。仕事が分かりすい行いやすい工夫は、障害のあるなしに関係なく、働きやすさの工夫に繋がるのではないかと感じた。皆さんがいきいきと、丁寧に一生懸命仕事をする姿や「仕事をしたい」「働く幸せ」という気持ちに、自分を顧みて自分も自分の仕事にきちんと向き合おうと思えた。キットパスも同じ会社とは知らなくて、ずっと気になっていた画材だったので、この機会に購入して私も虹を描こうと思う。2023/08/27
Mark X Japan
6
本当に大切な会社です。様々な軋轢や葛藤があったかと思いますが,その先の景色を見せてもらいました。幸せとは何かを考えさせられるました。☆:4.02020/05/22
sugu
3
家にあったので、気軽に手を出してみた。働くことは「傍を楽にする」ことであると言うこともある。そこに対して価値が生まれ、対価として給料が支払われる。その働き方は、雇用者、自営業、雇用する経営者、投資者の大きく4つに分類されると金持ち父さん貧乏父さんで。ただ、どれがいいのかなどはそれぞれの視点、状況次第なので、一概には決めつけられない。結局のところ、本人が自己有用感を感じて幸せならそれでいいのではないか。それをサポート、フォローするのが上に立つものの仕事である。それを深く考えた。2025/01/19
晴
3
社員の7割が知的障がい者で構成されているチョーク製造会社・日本理化学工業。半世紀以上、障がい者雇用を行ってきた中での創業者一族の葛藤や、働きやすい会社づくりの大変さを感じた本でした。特に大山会長の「皆働社会は誰もが得をする、すなわち幸せになる社会です。」という言葉が印象に残りました。 2023/09/24
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